知恵の和ノート
売上目標達成なのに利益ゼロ?実行で陥る盲点とは(第568話)
事業計画で利益から逆算して目標とする売上高を決めた後は、売上高だけでなく、支出にも目を光らせてコントロールしないと、骨折り損のくたびれ儲けになる。
事業計画で数字の目標を立てる際、「売上高→利益」という上からではなく、必要な利益から逆算して「利益→売上高」を決めていくという主旨で、「事業計画は下から作る」と普段からお話しています。
売上高は契約を結ぶ、請求書を発行するという際に金額が見える化できるのに対して、利益は計算しないと、正確な数字を把握できません。このため、まずは手元にしっかりとお金を残すためにも、目標とする利益を決めた後で、目標とする売上高を決めた方が良いとクライアントさんにはお伝えしています。
しかしながら、このようなプロセスを経て決めた売上高をある程度確保できても、結果として、手元のお金が思ったほどには増えていないことがあります。
毎月3,000万円の売上を上げれば、100万円の利益を上げられるはずだったのに、収支トントンだったり、月によっては、赤字になっていたり。
このようなケースで共通するのは、「支出の管理が甘い」ということです。
3,000万円の売上で100万円の利益が出るという目標の場合、例えば
- 原材料費や外注費等にかかる費用:2,000万円
- 人件費や事務所家賃等にかかる費用:900万円
といった費用がかかるという前提があります。
人件費や家賃などは毎月大きく変わらなくても、
- 原材料が値上がりした
- 予定よりも工期が伸びて外注費が膨らんだ
といった場合、いわゆる売上原価の費用がかさんで、粗利が減ります。
また、仕事量が増えて、社員が残業したので、人件費がかさんだというケースもあります。
これらをきちんとフォローアップしていないと、当然のことながら、計画通り売上高3,000万円は達成できたのに、利益が出ていないという事態に陥ります。
- 原材料が値上がりしたのなら、もっと安い原材料で対応できないかを検討する
- 工期が伸びそうなら、仕事のやり方を工夫して、なんとしても工期を守る
- 残業する社員が多いなら、すぐにやらなくても良い仕事を減らす
といったように、支出を常にコントロールする動きを伴わないと、「せっかく頑張って売上を伸ばしたのに」という状況になります。
しかしながら、ついつい忙しいと、本来は「(必要な利益を確保するための)売上高」であったものが、「(単なる数字上の)売上高」になってしまい、骨折り損のくたびれ儲けになります。
このため、できれば週1回、少なくとも月1回は目標とする売上高だけでなく、そもそもの目標であった利益がちゃんと確保できているかをチェックしましょう。
「事業計画を下から決める」目的は、直接的には目に見えない必要な利益を確保すること。せっかく利益から逆算して目指す売上目標を決めたのに、本来の目標である利益を途中で見失ってしまうのは迷子と一緒です。
利益は売上だけではならず。特に今はいろいろなモノが値上がりしています。このため、支出を最小化することを常に頭の片隅に置いておき、社員にも周知徹底しないと、利益を残せません。
利益から逆算して売上目標を定めた後は、必ず支出にも目を光らせましょう。
★関連する記事は
↓ ↓ ↓
事業計画は下から作り、少しずつでも利益を見える化して目標に近づける
たとえ見たくなくても数字と向き合って、必要な利益の金額をつかみ、その利益を少しずつでも社内で見える化することで会社は成長する。
ヒーズでは、弊社の日頃の活動内容や基本的な考え方をご理解いただくために、専門コラム「知恵の和ノート」を毎週1回更新しており、その内容等を無料メールマガジンとして、お届けしています。
上記のフォームにご登録いただければ、最新発行分より弊社のメールマガジンをお送りさせていただきます。お気軽にご登録いただければ幸いです。