知恵の和ノート

2025/04/08

目先の利益と3年後の利益、二兎を追うのが経営者の仕事(第579話)

カテゴリー :経営者

経営者の視点と社員の視点は違うからこそ、「いまは短期の数字を優先してほしい」「これは長期の仕込みのためだ」といった目的を言語化して、指示の背景を共有する。

「今の売上」だけを見ていたら、会社の未来はつくれない

いま強くなる稽古と、3年先に強くなるための稽古を両方しなくてはいけません

これは昭和の名横綱・千代の富士の言葉です。

横綱は土俵に上がれば常に勝つことを求められます。だから、目の前の一番に勝つことは絶対に欠かせない。一方で、その地位を長く守るためには、3年後にも勝ち続けられる体づくりが必要です。どちらかだけでは、横綱として生き残れない。

 

この言葉は、会社経営にも通じるものがあります。

私たち経営者も、いまの利益と、将来の利益、その両方を追わなければなりません。「今月の数字が足りない」と焦る日もあれば、「3年後の成長戦略を描かねば」と未来を見つめる日もある。現実には、その両方を同時にやるしかないのです。

 

私のクライアントさんの中には、最初に出会ってから契約に至るまで、2〜3年かかった方が少なくありません。最初はメルマガを読んでいただいて、その後、何度かお会いして、ようやく必要なタイミングでお声がけいただきました。

つまり、3年後の売上は、今日の行動によってしか生まれないのです。

 

でも、そんな「未来の稽古」は、今月の売上にはつながらないことが多いです。目の前の売上を追いかけるのが経営者のリアルだからこそ、「こんな種まき、意味があるのか?」と不安になるのも事実です。

一方で、「今月中に500万円つくらなければ」という場面もあります。そのときに必要なのは、即効性のある動き。見込み顧客を洗い出し、電話や訪問を重ね、泥臭く確実に刈り取っていく力です。

 

ここで重要なのは、社内での「切り分け」です。

経営者は両方を見ている。でも、社員は違います。

「今は何を優先すべきか?」が分からないと、迷います。たとえば、社長が「新規開拓に力を入れよう」と言った数日後、「今月の売上が足りないからこの案件を優先してくれ」と言えば、「話が変わった」と感じるのは当然です。

 

これは指示の整合性の問題ではなく、背景の共有不足です。

経営者の視点と社員の視点は違うからこそ、「いまは短期の数字を優先してほしい」「これは長期の仕込みのためだ」といった「目的の言語化」が重要なのです。

 

かつての千代の富士のように、社員に「今と未来を同時に鍛えろ」と求めるのは酷です。だからこそ、会社のビジョンと戦術をつなぐ「橋渡し」を意識し、そこが機能するよう仕掛けを行うのが経営者の役割。

日々の売上に目を光らせながらも、社員には未来を見せる。今日の一歩が、3年後の利益につながることを信じて、種まきを続ける。そんな両眼思考が、会社を長く強くしていきます。


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