知恵の和ノート
中小企業の資金繰りを強化する「3つの変える」戦略(第558話)
資金繰り改善のカギは「変える」こと。固定観念を捨てて、取引条件、社内目標、役割分担を見直し、資金繰りを強化しよう。
資金繰り改善のためのキーワードは「変える」。
資金繰りを抜本的に改善するには、3つの「変える」が必要です。それは以下の3点です。
- 取引条件を変える
- 社内目標を変える
- 役割分担を変える
【取引条件を変える】
取引条件を見直す際には、販売先、仕入条件、借入金の返済額など、多くの項目を考慮する必要があります。
しかし、ここで大切なのは、「固定観念」や「先入観」に囚われないこと。制約条件を一度取り払ってゼロから考えることが、改善の第一歩となります。
資金繰りについて相談を受けた経営者に、「材料は本当にA社でなければならないのですか?」と尋ねると、多くの方が「この材料じゃないとだめなんです」とお答えになります。しかし、数か月後に「B社に変えました」という報告をいただくこともあります。こだわりや固定観念が、時に柔軟な対応を阻むことがあるのです。
また、過去に決めた条件は変えられないと思い込んでいても、取引先に相談してみると意外と変更が可能なこともあります。
重要なのは、自分で「無理だ」と決めつけず、まずは可能性を探ることです。交渉は戦略的に進めつつも、変えられるものをピックアップし、資金繰りの改善に繋げていきましょう。
【社内目標を変える】
社内目標の設定が資金繰りに大きく影響することも見逃せません。
例えば、ある企業では売上が目標とされており、売上金の入金や売掛金の回収が後回しにされていました。
この状況では、売上数字は伸びても、キャッシュが実際に手元に入るまで時間がかかり、資金繰りに支障が出る可能性があります。最終的に、その企業では売掛金の回収までを含めて目標達成とする評価制度を導入しました。その結果、売上自体が横ばいでも、資金繰りは大幅に改善されたのです。
【役割分担を変える】
資金繰りの改善を進めるためには、「誰が、何を、どのように行うのか」を明確に決めることが不可欠です。
問題が特定されているにもかかわらず、役割が曖昧なために改善が進まないというケースも少なくありません。
経営者は、重要な項目を特定の社員に集中させてしまいがちですが、そうすると一人に負担が偏り、かえってボトルネックを生む可能性があります。役割分担の見直しにより、社員の力を分散させ、スムーズな業務フローの再構築を図りましょう。
取引条件、社内目標、役割分担。資金繰りの改善は経営者一人だけではできません。全社員、そして取引先を巻き込み、社内外のバランスをとりながら進めましょう。
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