知恵の和ノート
目先の利益に振り回されるな!未来の成功をつかむ時間の使い方(第572話)
「お客様のため」と言いながら、実は「自社の目先の利益のため」に行っていることがないかどうかを常に見直し、時間の使い方を変える。
将来の利益に目を向け、今の時間を有効活用する重要性
バブルの時期、私が勤めていた銀行では業務本部制が敷かれ、融資案件の可否をチェックする審査部がその本部の中に組み込まれました。
「お金をどんどん貸せ」という大号令の下、融資を伸ばす部門とそれをチェックする部門があった場合、当然のことながら前者が力を持ちます。その結果、多くの不良債権が生まれ、後に大きな金融危機へと発展していきました。
このような事態が発生した理由は単純です。銀行が「お客様のため」と言いながらも、実際には短期的な収益を優先し、長期的なリスクを軽視したからです。組織を一体化し、スピードを優先することで目の前の利益を確保しようとしましたが、その代償として後に甚大な損失を被ることになりました。
この銀行の事例は、多くの企業が陥りがちな落とし穴を示しています。すなわち、目の前の利益を追求するあまり、長期的な収益を確保する戦略を疎かにしてしまうことです。
「お客様のため」の落とし穴
多くの企業では、組織や機能を分類する際に「お客様のため」という論理を持ち出します。しかし、この言葉は一見すると美しく聞こえるものの、「自社の利益を追求するため」という本音を覆い隠すことが多々あります。
銀行のケースでいえば、本来の役割である「貸すも親切、貸さぬも親切」という判断が軽視され、短期的な利益に走ることで、結果として企業価値を大きく損なうことになりました。
企業にとって、短期的な収益を着実に上げることはもちろん重要です。しかし、それと同じくらい、長期的な視点を持ち、未来の利益を確保する仕組みを作ることも必要不可欠なのです。
長期的な利益を確保するために必要な視点
短期的な利益を追求すること自体は悪いことではありません。むしろ、日々のキャッシュフローを確保し、企業が持続可能な成長を遂げるためには重要です。しかし、そればかりに気を取られると、長期的な収益を確保する機会を失いかねません。
短期的な利益を確保する仕事は、お客様の顕在化しているニーズに対応すればよいため、比較的わかりやすいものです。一方で、長期的な収益を確保する仕事は、まだ顕在化していないニーズを掘り起こし、新たな市場や価値を創出することが求められます。そのため、すぐには華々しい成果が見えにくく、軽視されやすい傾向にあります。
しかし、将来にわたって成長し続ける企業は、こうした「見えない価値」に対しても時間とリソースを割くことを怠りません。だからこそ、長期的な視点を持ち、計画的に未来の利益へとつながる行動を取ることが重要なのです。
目先の利益にとらわれないための実践的アプローチ
「忙しくて時間が取れない」というのは、多くの企業が長期的な取り組みを後回しにしてしまう理由のひとつです。しかし、本当に未来の利益を考えるのであれば、意識的に時間を確保しなければなりません。
例えば、中小企業の場合、組織や機能を分類して将来に向けて布石を打つための部門を作るのは難しいかもしれません。その場合、「時間を分類する」という考え方を導入することをお勧めします。
たとえば、「毎月10日の午後3時間は将来に向けた戦略を考える時間にする」と決めることで、短期的な業務のみに埋没することを防げます。また、もしその日が商談などで都合が悪くなった場合は、「翌日の午後に振り替える」といった代替ルールも事前に決めておくとよいでしょう。
このように、企業の成長には、短期的な利益を追求しつつも、長期的な収益を確保するための時間を確保するバランス感覚が必要です。
本質的な問いを持ち続ける
短期的な利益に偏りすぎることなく、長期的な視点を持つためには、日々の業務の中で自問自答を繰り返すことも大切です。
「今のやり方で本当に良いのだろうか?」
「どこかでちょっと妥協している点はないだろうか?」
「もっとやるべきことがあるのでは?」
これらの問いを持ち続けることで、目の前の利益だけでなく、未来の成長につながる行動を取る意識が生まれます。
また、「お客様のため」と言いながら、実は「自社の目先の利益のため」に行っていることがないかどうかを常に見直すことも重要です。本当に「お客様のため」になることは、短期的な収益にとらわれるのではなく、長期的な信頼と価値を築くことなのです。
まとめ
企業が成長を続けるためには、目の前の利益を確保するだけでなく、長期的な視点を持って未来の収益を生み出す行動を取ることが不可欠です。そのためには、
- 長期的な利益を確保するための時間を意識的に確保する
- 短期的な収益と長期的な成長のバランスを取る
- 自社の行動が本当に「お客様のため」になっているかを定期的に見直す
といった取り組みを続けることが重要です。
「今の利益」にとらわれるのではなく、「未来の利益」を確保するための行動を、今日から意識してみてはいかがでしょうか?
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