知恵の和ノート
「その短所、本当に直すべき?」視点を変えれば「癖」は強みに変わる(第580話)
短所を克服するよりも、活かす視点がカギになる。そして、自己受容ができると精神的にも楽になり、他者の言動にも寛容になる。
「夏休みの宿題、毎年ギリギリにならないと手をつけなかったんだよね」
そんな話をすると、共感してくれる人が意外と多いです。
実は私もその一人でした。
小学生の頃から、「やらなきゃ」と思いながら、結局取りかかるのは8月の最終週。社会人になっても変わらず、報告書の提出やノルマの達成はいつも締め切りギリギリ。
いわゆる「先延ばし癖」が抜けませんでした。
以前の私は、これを「直すべき悪い癖」だと思っていました。時間に余裕を持って取り組める人に憧れ、自分のこの習慣を何とか矯正しようと努力したこともあります。
でも、長年の習慣というのは、そう簡単に変わリません。「またギリギリになってしまった」と落ち込む自分に、さらに自己嫌悪が重なります。
そんなある日、ふと思いました。
「これって、本当に“悪いこと”なんだろうか?」
考え方を変えてみたら、少し景色が変わりました。
例えば、「ギリギリにならないと動けない」というのは、見方を変えれば「逆算して考える力がある」とも言えます。
〆切を見据え、それまでに何をどうすれば間に合うのかを計算できているとも言えます。しかも、切羽詰まった状況でもパフォーマンスを落とさずやりきれるというのは、ある種の「集中力」の賜物です。
実際、私は普段こそ後回しタイプですが、「来月1週間の休暇を取る」といった明確な理由がある時は、驚くほど段取り良く仕事を終わらせていました。要するに、「やればできる」けれど、「いつもはやらない」だけなのです。
この時気づいたのは、習慣そのものを変えるのは難しくても、「どう活かすか」という視点は変えられるということ。
自分の癖や傾向に無理にフタをするのではなく、「この性格をどう使えばプラスになるか?」という問いに変えてみるだけで、ずいぶんラクになりました。
もちろん、習慣を意識的に変えていく努力も大切です。けれど、人の本質的な部分はそう簡単には変わりません。そして、変えようと頑張ってもうまくいかないと、「自分はダメだ」と自己否定に陥ってしまうこともあります。
それならいっそ、「これは私の個性なんだ」と受け入れてしまった方が早い。
例えば、「またいつもの癖が出た」と思っても、「まぁ、これが自分のやり方だしな」と肩の力を抜いてみる。この「自己受容」ができるようになると、精神的にぐっと楽になります。
さらに面白いのは、自分の癖を認められるようになると、他人の癖にも寛容になれるということ。
「あの人、いつも準備が遅いよね」
以前ならイライラしていたことも、「ああ、自分と同じようにギリギリ派なのかも」と冷静に見られます。その結果、コミュニケーションもスムーズになるし、打ち手も広がります。
何が「良い癖」で、何が「悪い癖」なのか。
その判断は、実は状況次第だったりします。
短所に見えていたものが、ある環境では長所になることだってあります。だからこそ、まずは「事実を事実として受け入れる」こと。
「変えるべきだ」と決めつける前に、「このままの自分でどう活かせるか?」と問うてみましょう。
自分の個性を押し殺すのではなく、活かす。
無理に変えようとせず、フォーカスを変える。
その視点の転換が、人生を少しだけ、でも確実に生きやすくしてくれます。
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