知恵の和ノート
中小企業こそ「旗を掲げよ」—価値観を発信する経営が信頼と成果を生む(第581話)
経営判断に迷いが生まれるのは、自分の価値観が言語化されていないから。価値観を軸に「旗を掲げる」ことで、社員も顧客も自然に集まり、経営は驚くほど楽になる。
話をしてもなかなか噛み合わない。
誰しも、そのような人と出会ったことはあるかと思います。
さしずめ最近では、就任して3ヵ月になった某国の大統領と話が噛み合わなくて、困っている人も多いかもしれませんね(笑)。
ところで、いったん言動がなかなか理解しにくい人も、その人の価値観を理解すると、「なるほどね!」と少しは理解できることがあります。
実際、某国の大統領についても、独立研究者の山口周さんがnoteの記事で「予定説がわかるとトランプの思考・行動様式がわかる」と書かれています。
会社経営においても、社員や取引先の価値観や考え方の背景にあるものが分かると、マネジメントやマーケティングの点で有効です。
「どういう言葉を使えば、相手の感情に響くのか」が予め分かっていれば、社員に仕事の指示を出す時にも、取引先に新たな提案を行う時にも、より効果が高いからです。
しかしながら、実際には社員が多ければ全社員の価値観を理解するのは難しいし、仕事を通してのお付き合いがベースである取引先一人ひとりの考え方の背景を正確に把握するのは無理な話です。
そこで、経営者にお勧めするのは、「自分の価値観を言葉にして自覚する」こと。そして、「その価値観を抱くに至った理由や経緯も含めて自ら理解する」ことです。
そもそも論として、相手が一定の価値観をベースに言葉を発する際に、自分の価値観が曖昧なままだと、相手の口調や言葉尻に振り回される恐れがあります。
また、単に「自分はこういう価値観だ」という際に、その背景も含めて腹落ちしていないと、自分より強い相手に接した際に、その相手の価値観に引きずられるかもしれません。
なお、ここで言う価値観は「この人と出会って価値観が変わった」というような「表面的な価値観」ではなく、状況や環境が変わろうとも変化しない「深層にある価値観」です。
この「深層価値観」とも言うべきものは、すぐには分かりません。けれども、一旦それが分かると、「なぜ私はこのことが嬉しいのか」「どうして、自分はこれにイライラするのか」が自力で分かるようになります。
すると、過去において、「なぜあの時は上手くいったのか」「どうしてあんなに頑張っていたのに、評価が低かったのか」も芋づる式に理解できるので、必要以上に悩まなくなるのです。
そして、この深層価値観をその背景として理解していれば、言葉に重みが生まれてくるので、社員であれ、取引先であれ、その価値観に共感する人が一定数出てきます。
つまり、自ら旗を揚げることで、仮に相手の価値観をこちらが理解していなくても、一緒に仕事をすれば上手く人と、一緒に仕事をしても、上手くいかない人が自然と別れるようになるのです。
国と国との付き合いであれば、特に相手が大国の場合は、無視することができません。このため、キーマンの価値観を理解した上で、上手く外交交渉しなければなりません。
一方、特に中小企業の場合。全世界・全人類を相手にしてビジネスを行う訳ではありません。経営者の価値観に共感し、自社の商品やサービスに価値を感じてくれる人が対象になります。
それであるならば、「自分はどのような旗を掲げてビジネスを行うのか」をまずは自分の中でハッキリさせた方が結果的には早く成果に繋がります。
クライアントさんにはよく申し上げているのですが、「売る商品が野菜から魚に変わっても、あなたが提供する価値は不変です」ということ。
某国大統領が関税に言及しようが、自動車に難癖をつけようが、その深層価値観の点から見れば根は同じ主張であるように、たとえ業種や業態が変わっても、本人が心の底から大切だと感じているものは何なのかが分かると、状況の変化に対しても、したたかに対応できるようになります。
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評価に左右される経営から抜け出す!ブレない「価値判断の軸」の築き方
自分の価値判断の基準が言語化できると、相手の反応に一喜一憂せず、「この方には響かなかったけど、それは価値観の違いだな」と落ち着いて判断できるようになります。
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