知恵の和ノート
資金繰り表を作成しているのに効果が出ない?実績修正の重要性を解説!(第554話)
資金繰り表は経営の羅針盤とも言える存在。面倒でも毎月計画と実績のズレをちゃんと修正することによって、より正確な経営判断を下すために役立つ。
中小企業の経営者の方々が、自ら毎月資金繰り表を作成することは素晴らしいことです。
しかしながら、計画と実績の違いが生じた際に、計画の数字を修正せずにそのままにしてしまうケースが時々あります。
本来、資金繰り表の構造は
「前月からの繰越残高」+「入金」-「出金」=「当月末残高」
というシンプルなものです。
ただし、売上金の回収による入金や原材料費等の支払による出金の金額は計画と実績では異なることがよくあります。そして、その差が生じたままで当月末残高の数字だけ合わせてしまうと、足し算と引き算から出る答えと異なるので、単純であるはずの構造が崩れてしまいます。
つまり、経営者が月末の残高だけ合わせて、次の月の計画を立てることに満足してしまうと、せっかくの資金繰り表が中途半端なものになり、銀行や外部機関に提出できるような信頼性のある資料として活用することができません。
計画と実績の乖離を無視するリスク
資金繰り表は、会社の資金の流れを可視化し、経営判断に役立てるための重要なツールです。
計画を立てることで、今後の収入と支出のバランスを見通すことができますが、実際の数字が計画と異なる場合、その差異を放置すると現実とのズレが広がります。計画はあくまで「予測」であり、実績がそれに反している場合は、単に月末残高を合わせるだけでは経営の実態を反映した資金繰り表にはなりません。
特に、資金繰り表は銀行や投資家とのコミュニケーションツールとしても非常に重要です。
例えば、融資を受ける際や資金の追加調達を行う際、信頼できる資料を提示することが求められます。しかし、計画の数字が現実を反映していない資金繰り表を提出した場合、相手側にとっては「この企業は資金繰りを正確に把握していない」という不安材料となりかねません。
資金繰り表を最大限に活用するためのポイント
計画と実績が乖離した場合、その都度計画を実績に基づいて修正することが大切です。以下のポイントを押さえて、資金繰り表を経営に活かすためのステップを確認しましょう。
1.実績と計画の差を分析する
毎月の実績が計画とどのように異なるかを分析することで、会社の収入や支出の変動要因を特定することができます。たとえば、売上が計画より低かった原因が季節的な要因なのか、競合の影響なのかを考察することができます。また、支出が計画を上回った場合は、予算超過の原因を追求し、改善策を講じることが求められます。
2.次月以降の計画に反映させる
実績を反映することで、次月以降の計画がより現実的で信頼性の高いものとなります。過去の実績を参考に、より正確な予測を立てることで、資金繰り表が経営判断において強力なツールとなるでしょう。
3.外部向けに整備する
銀行や投資家に提出する際には、計画と実績の違いをしっかりと説明できるようにしましょう。また、修正を加えた資金繰り表を提示することで、信頼性の高い経営資料としての評価を受けやすくなります。
修正を怠ることの「もったいなさ」
資金繰り表を毎月作成することは、経営の見える化に向けた大きな一歩です。しかし、せっかくの努力が報われないのは、計画と実績の乖離を修正しないままにしてしまうことです。
修正も含めてしっかり行うことで、資金繰り表は経営判断のより正確なツールとなり、会社の健全な資金管理を実現できます。また、銀行や投資家に対しても信頼できる経営者であるという印象を与え、融資や投資の交渉がスムーズに進む可能性が高まります。
まとめ
資金繰り表は経営の羅針盤とも言える存在です。計画と実績のズレを修正することは、より正確な経営判断を下すために必要不可欠です。
中小企業の経営者にとって、資金繰り表を最大限に活用するためには、ただ月末残高を合わせるだけではなく、実績をしっかりと反映させる習慣をつけることが重要です。
資金繰り表を正しく運用して、経営の改善や将来の成長を確実にサポートすることに繋げましょう。
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