知恵の和ノート
同じミスでも種類によって社員への指導方法は変わる(第539話)
ミスにも時間と共に解決できるミスもあれば時間が経っても解決しないミスもあり。後者は厳格に対応しないと、人が代わっても同じようなミスが繰り返される。
社員が仕事でミスや失敗をする際、大きく分けると
- 時間と共に解決するもの
- 時間が経っても解決しないもの
の2種類があります。
その仕事に必要な知識や経験が足りない場合、どうしてもミスや失敗は起こります。けれども、この場合は必要な知識を身につけ、一定の経験を積ませることで、やがて解決します。
一方、同じミスでも
・同じようなことを何回も繰り返す
・改善の兆候があまり見られない
なら、時間が経っても問題は解決しません。
この場合、失敗の原因を追求すると
「私の不注意でした」
「悪いのは私です」
「以後気をつけます」
といった回答が返ってきても、しばらくすると、また同じ失敗を繰り返す訳です。
人は心底「悪いなぁ」と思っていたら、何かしら行動を改めます。けれども、言葉では「悪いのは私です」と言いつつも、心の中では「私は悪くない」と考えている人が一定数います。
また、そのような人は意識的か、無意識なのかは別にして、しつこく叱られたり、ネチネチ指摘されたりするのを防ぐために、いったん「自分が悪い」と認めることでその場を乗り切ろうとする傾向があります。
このような特性を採用の際に見抜くのはなかなか困難です。このため、会社としてはたとえ一人のミスがあっても、それを組織としてカバーできる体制を整えることが大事です。
とは言え、同じようなミスを繰り返す人が一人でもいると、他の社員にも迷惑がかかります。
特に社員数が少ない場合は、他の社員がカバーするにしても限界があります。また、いつも足を引っ張る人がいると、全体の士気にも関わります。
このため、同じミスを繰り返す人は可能な限り減らしたいところです。
この点、過去にいろいろな会社を見てきて同じミスを繰り返す人がなくならない会社に共通する項目が3つあります。
それは
- 明確な基準(ルール)がない
- 基準(ルール)を守らない(守れない)時の対応が曖昧
- タイムリーな指導がなされていない
です。
時間と共に解決できるミスを最初から厳しく指摘すると、社員は萎縮します。すると「それなら積極的に仕事をやらない方が良い」と考えるようになります。
この場合は「そのミスを次に活かす」という指導方法を優先するのがベターです。
一方、その場しのぎで「私が悪いです」と認めても、同じようなミスを繰り返す場合は「その失敗を次に活かす」ことが通用しないので厄介です。仕事に対する姿勢の問題なので、「しつけ」としてより厳格に指導しないとなかなか直りません。
その際
・基準(ルール)が曖昧で社長と部長の言うことが微妙に違う
・基準(ルール)を守らなくても、少し叱られるだけで終わり
・複数の失敗が起きても全部が全部いちいち指摘されることはない
という状況だと、社員も足元を見てきます。
そして、そのうち指導する側が根負けしてしまい、そのまま放置されているケースも少なくありません。
子供の頃、よく言われたのは「ごめんで済んだら警察要らん」。
これを会社経営で置き換えてみると「ごめんで済んだら経営者要らん」です。
経験不足など時間と共に解決するミスには寛容に、改善する意思がないなど時間が経っても解決しないミスにはより厳格に対応しましょう。
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