知恵の和ノート
人手不足を品質低下にしないためにはマニュアルの整備だけでは力不足(第541話)
人手不足を言い訳にせず、誰でもすぐに働けるよう仕事の見える化に取り組むことは基本として、会社としての合格基準を常に維持できる体勢を整える。
この3月から自宅地区の大規模修繕工事が続いています。
現在は私が住んでいる棟の外壁塗装の真っ最中なのですが、在宅で仕事をしていると、何語かよく分からないのですが、作業員の方の会話が聞こえてきます。
人手不足の日本では今や海外から来る働き手なくして仕事が回らないのを身近に感じています。
私はかつて海外で住んでいたこともあり、外国人の方が身近で仕事をすることに対してはそれほど違和感はありません。
しかしながら、ご近所は高齢者の方も多いため、自分の分からない言葉が身近で行き交っていることに対して、違和感を感じる人もおられます。
また、日本人でない人がやる仕事に対して、「本当にちゃんとやってくれるのか?」という漠然とした不安を抱く方もおられます。
この点、建設業界よりもいち早く外国人が働くことが当たり前になっているコンビニ業界では、「従来は各店舗に任せていた従業員の教育を本部がまとめて研修を実施することでより高いレベルのサービス提供を目指している」のを先日ニュースで知りました。
コンビニなどはすでに詳細なマニュアルがあります。
このため、仕事の基本的なやり方などはマニュアルを見れば一通りできる体制を整えています。
けれども、挨拶の仕方やきめ細やかな顧客対応は各店舗の店長やオーナーが教えているケースがほとんど。人によって何を基準に、どこまで教えるかは違うので、店舗によって対応に差が出たり、結果として売上にも影響が出ます。
そこで、会社として全体としての底上げを図るべく、本部の研修制度をさらに充実させた模様です。
仕事を人に任せる場合は
- 仕事のやり方を教える
- 仕事を実際にやってもらう
- 仕事の仕上りをチェックする
- 仕事の修正を行う
というプロセスを進めていきます。
仕事の基本的なやり方はマニュアルなど文書にすることができます。難しいのはその仕事を実際にやってもらった後、その仕上りをチェックするプロセスです。
自宅の大規模修繕工事で言えば、
現場のスタッフが仕事をやる
↓
現場責任者や現場監督がチェックする
↓
本社の監査部の人が再度チェックする
という体制で進められています。
つまり、住民の「本当にちゃんとやってくれるのか」という不安に対して、「最終的には本社の社員がチェックします」ということで答える形になっています。
おそらく前述のコンビニ大手も、「現場に任せ切りだとどうしても対応に差が出る」という状況を踏まえて、「本部の研修制度で品質の底上げを図る」という戦略を立てたのかと思われます。
人手不足には
- そもそも働き手が不足している
- 働き手はいても、会社が求める水準の人が不足している
という二つの側面があります。
前者の働き手の絶対的な不足の問題は一企業ではどうすることもできません。しかしながら、後者の一定水準以上の働き手の不足の問題はやり方次第では会社の大小を問わず対応できます。
「人手が足りないなら、海外から安い人材を持ってくればいい」というのは一昔前の発想。そもそも、昨今のような円安が続くと、「日本で働きたい」と考える外国人も増えない可能性だってあります。
- 仕事を見える化して、まったくの素人でもすぐに働いてもらえるよう体制を整備する
のは当たり前として
- 会社として商品やサービスの合格基準を定めてそれをしっかり守るような体勢を整える
ことも求められつつあります。
熱中症警戒アラートが出る中、一生懸命働いてくれている現場の人には感謝の気持ちしかありません。だからと言って、工事で手抜きや不具合があると、後々大きなトラブルにもなり、会社の信頼も傷つきます。
人手不足が品質低下にならないよう知恵を絞りましょう。
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