知恵の和ノート
なぜ経営者は失敗を繰り返すのか? カエサルの名言に学ぶ真の改善法(第559話)
「人は見たいと思う現実しか見ない」のが古代ローマ時代から変わらない人間の本質であるとすれば、「見たくないと思う現実から目を背けない」ことで、一歩先んじることができる。
人が同じ失敗を繰り返してしまうのは、人間の本質に根ざした特徴です。
しかしながら、その本質を理解し、自覚的に対応すれば、状況を改善することが可能です。同じミスを完全にゼロにするのは難しいですが、繰り返す頻度を減らすだけでも、仕事で成功する確率を高められます。
その鍵は「見たくない現実から目を背けない」という姿勢にあります。
「人は見たいと思う現実しか見ない」
これは古代ローマの政治家カエサルの言葉として知られています。この言葉が示すように、私たちはしばしば自分の都合の良いように物事を解釈し、意識的にも無意識的にも不都合な真実を避ける傾向があります。
例えば、売上が前年と比べて5%減少しているというデータがあるとします。
この状況に対して、「今の景気を考えれば、このくらいの減少は仕方がない」と受け止めるのか、「新商品を投入したのに売上が減ったのは何か根本的な問題があるはずだ」と捉えるのかによって、その後の行動が大きく変わります。
結果が出た後に状況を分析し、原因を探るのは比較的簡単です。しかし、結果が出る前に冷静に状況を見極め、打てる手を適切に講じることこそが重要です。
そのためには、感情の動きや思考の癖に注意を払い、冷静さを保つことが必要です。
感情が判断を曇らせる例は経営の現場に限りません。
株式投資を趣味とするあるクライアントの方は、株の売買を行う際に「その時どんな気持ちだったか」を一行日記のように記録する習慣を持っています。そして後からその記録を振り返り、自分が成功しやすいパターンや失敗しやすいパターンを感情面から分析しています。これにより、売り買いの判断が感情に引きずられないよう努めているのです。
同じように、会社経営でも冷静な判断が求められます。商品やサービスへの熱意が高ければ高いほど、それを冷静に見直すことが難しくなります。しかしながら、「見たくない現実」をあえて直視することで、新たな発見が生まれるのです。
たとえば、ご自慢の商品が期待したほど売れていない場合、その理由を冷静に分析する必要があります。そのためには、まず自分の熱意や感情を脇に置き、客観的に商品の魅力を洗い出してみることです。
競合商品と比較してスペックが高いとしても、その違いが顧客にとって「誤差の範囲」に過ぎないこともあります。理不尽に思える結果であっても、必ずそこには要因があります。
経営者として、結果を受け止めると同時に感情の動きや思考の癖を把握することで、次のステップを冷静に見出せるようになります。
失敗や不調の背後に隠れた真実を見つめることが、経営を一歩前に進めるカギです。
感情に支配されず、データや事実を基に行動する。その積み重ねが同じ失敗を繰り返さないための土台となります。
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