知恵の和ノート
「すべての出来事には意味がある」をビジネスで実現する新年の目標設定術(第566話)
すべての出来事に付帯する意味は後づけ。だからこそ、自ら設定した目標に基づいた我田引水的な意味づけが大きな影響力を持つ。
「人生で起こることに意味のないものはない」
「すべての出来事には必ず意味がある」
こういったフレーズは、多くの成功者が口にする言葉です。そして、これらの言葉は「どんな困難も乗り越えるべき試練である」という教えとも結びついています。
たしかに、私自身もこれまでの社会人生活を振り返ると、銀行員としての第一歩、海外駐在員としての経験、2度の転職、そして独立へと続く道のり、すべてに意味があったと感じます。
しかしながら、その「意味」というものは、実はすべて後から自分でつけたものです。
目の前の出来事に対して「これは自分にとってどんな意味があるのか?」と考えるのは一見、建設的な態度に思えます。しかし、こうした問いが行動を止めてしまう原因になることもあります。
「なぜ自分ばかりこんな目に遭うのか」「この試練にはどんな意味があるのか」と悩みすぎてしまうくらいなら、むしろ「意味」を考えない方が前に進める場合もあるのです。
現実に意味は存在しない?
たとえば、歴史ドラマを観る時のことを考えてみてください。私たちは西郷隆盛と大久保利通の意見対立が西南戦争につながるという史実を知っています。そのため、2人が微妙にすれ違う場面では、「これが後の対立につながる布石だな」と勝手に意味づけしてしまいます。
しかし、現実の生活や仕事では、10年後に何が起こるかを知っている人は誰もいません。目の前に立ちはだかる課題や困難も、それ自体は本来「何の意味もない」ただの出来事です。そこに意味を与えられるとすれば、それは私たち自身が未来の目標から逆算してつけたものに過ぎません。
我田引水の意味づけが未来を創る
「すべての出来事には意味がある」と言う人は、過去の出来事を自分に都合よく解釈して、意味づけしてきた人だと言えます。そして、それは決して悪いことではありません。なぜなら、自分の人生の主役は他でもない自分自身だからです。
たとえば、「この困難を乗り越えることで成長できる」と自分を奮い立たせたり、「この失敗が次の挑戦の糧になる」と未来を信じたりすることも、すべて自分自身の解釈力にかかっています。他人がどんな意味をつけるかではなく、自分がどう意味づけるかが重要なのです。
他人の意味づけに振り回されないために
一方で、多くの人が他人の設定した意味づけに悩まされているようにも感じます。
「あの人はこんなことをしているから自分もそうすべきだ」「これをしないと成功できない」といった外部からのメッセージに縛られることは、自己を見失う原因になります。そうした状況を防ぐためには、「自分が本当は何をしたいのか」という目標を明確にすることが不可欠です。
目標が明確であれば、日々の出来事の意味も自然とはっきりします。「この経験は目標達成にどんな価値をもたらすか?」と考えられるようになるからです。
意味づけの力で未来を切り拓く
年の始まりは、多くの人が新たな目標を設定する時期です。その目標を達成するためには、日々の出来事に自分なりの意味を与え、我田引水で解釈する力が求められます。「これは自分の未来に必要な経験だ」と考えられれば、困難すらも力に変えることができます。
反対に、目標が不明確だと、ただの困難としてしか映らず、前に進む気力を失いかねません。「意味を見出す力」は目標を起点に育まれるものです。だからこそ、自分にとっての目標を明確にし、そこから逆算して出来事を解釈する姿勢を身につけましょう。
新年を迎えた今、自分にとっての大きな目標を改めて考え、その目標から逆算して意味づけをする癖をつけてみてください。小さな一歩でも、それが目標に近づく道ならば、すべての出来事に価値が生まれます。そして、今年1年がその積み重ねで満ちることを願っています。
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