知恵の和ノート
社員が仕事をしない前提で取り組むべきことは(第550話)
社員が仕事をしないのが当たり前の時代、経営者は社員に対して必要以上に擦り寄るのではなく、心を込めて感謝の言葉を伝えよう。
長年会社を経営していると、経営者は「社員が仕事をするのは当たり前だ」という感覚を持ちます。
しかしながら、最近は「社員が仕事をしないのが当たり前だ」という感覚を持った方が良いと感じています。
最近では退職代行ビジネスが流行るなど、会社を辞めることに対する抵抗感は非常に薄れつつあります。
また、人手不足が恒常的になりつつある中、経営者が厳しい態度で接しても、「いま辞められると、仕事が回らなくて困るでしょ」と足元を見透かしているケースも散見されます。
特に大手企業のように積極的に賃上げしたり、福利厚生面を充実さたりすることが難しい中小企業では、「もっと会社や利益のことを考えて行動してほしい」と指示した際、神妙な顔で話を聞いていても、「会社の経営を担うのはアナタの仕事でしょ」と内心で思っている社員も少なくありません。
その対策として、従来からお伝えしているのは
- 社員が代わっても仕事が回る仕組みを作る
ことですが、それに加えて、最近よくお話するのは
- 社員に対して感謝の言葉を伝える
ことです。
「社員が仕事をするのは当たり前だ」という感覚でいると、社員がコピーをとっても、何も言わないかもしれません。
そこで、一言「ありがとう!」と口に出して言えるかどうか。
急ぎの用件ができて、急に残業を依頼した際、「今日は遅くまでありがとう!」と伝えられるかどうか。
新たな仕組みをつくるにはシステムを導入したり、社外のリソースを活用したりするので、一定のコストがかかります。
一方、「ありがとう」と感謝の気持ちを口に出して相手に伝えることはコストはかかりません。
ただ、だからと言って「ありがとう」と伝えるだけではダメ。
その際、大切なのは「社員が仕事をしないのが当たり前だ」という前提に立って、
- 自分の代わりにコピーをとってくれた→その間、自分は別の仕事をやることができた
- 急ぎの案件は自分だけでは期限に間に合わなかった→無理言って手伝ってくれたお陰で取引先にも迷惑をかけずに済んで助かった
という気持ちを込めて言えるかどうか。
そういう意味では、日頃から自分の至らなさは棚上げしているのに、社員に対して「もっと会社や利益のことを考えて行動してほしい」と文句ばかり言っている経営者にはかえって難しい取り組みかもしれません。
人は合理性だけでは動きません。また、心を込めて感謝の気持ちを伝え続けても「そんなことより給料を上げてくれ」と主張する社員もいるかもしれません。
しかしながら、「社員に対して感謝の言葉を伝える」ことは、社員に必要以上に擦り寄ることではなく、社員を一人の人間として尊重することに繋がります。そして、その気持ちが通じる人が何かあった際、自発的に「自分はこの仕事をやろう」と取り組む社員になります。
★関連する記事は
↓ ↓ ↓
人手不足を品質低下にしないためにはマニュアルの整備だけでは力不足
人手不足を言い訳にせず、誰でもすぐに働けるよう仕事の見える化に取り組むことは基本として、会社としての合格基準を常に維持できる体勢を整えましょう。
ヒーズでは、弊社の日頃の活動内容や基本的な考え方をご理解いただくために、専門コラム「知恵の和ノート」を毎週1回更新しており、その内容等を無料メールマガジンとして、お届けしています。
上記のフォームにご登録いただければ、最新発行分より弊社のメールマガジンをお送りさせていただきます。お気軽にご登録いただければ幸いです。