知恵の和ノート

2024/12/17

コンテスト受賞だけでは終わらせない!持続可能なビジネスモデルの本質(第563話)

カテゴリー :ビジネスモデル

新規性だけを追求するビジネスモデルは危険。事業継続性を考慮し、資金計画や柔軟な対応力を備えることで、変化の激しい市場でも長期的に成功できるモデルを構築することが重要。

持続可能なビジネスモデルの本質

ビジネスモデルは事業継続性の観点を入れた上で考えるべき

あなたは「これは良いビジネスモデルだ!」と思うのはどんなときでしょうか?

・この商品が出来ると世界的にも革新的なものになる

・今まで誰もやったことのないサービスを展開する

・少人数で非常に効果の高い仕事につながる

 

これらはいずれも魅力的な視点です。実際、ビジネスモデルのコンテストなどで上位に入賞するためには、新規性や斬新さが重要視されることが多いでしょう。

しかし、革新的なビジネスモデルが必ずしも良いモデルとは限りません。

 

コンテストの成功と事業継続性の問題

私の前職では、ビジネスモデルが高く評価され、著名なビジネスモデルのコンテストで第3位に入賞しました。しかし、その1年後、会社は資金不足に陥っていました。それは、新しいビジネスモデルを持続させるための資金計画が不十分だったためです。

この問題は珍しい例ではありません。多くのビジネスモデルのコンテストでは、新規性や斬新さに重点を置く一方で、事業の継続性という観点が評価されにくい傾向があります。

 

新規性だけでは足りない理由

ビジネスモデルが画期的であっても、顧客の利便性を追求する過程で会社側が大きな負担を強いられる場合があります。たとえば、次のようなモデルを考えてみてください:

・売り切りの商品を分割払いで販売する

・成果報酬型で成功時のみ料金を受け取る

これらのモデルは顧客にとって非常に魅力的です。初期費用の負担が軽減され、利用しやすいと感じるでしょう。しかし、提供する側にとっては、投資した資金を回収するまでに時間がかかり、資金繰りが厳しくなるリスクがあります。

 

特に、資金的な裏付けが弱い企業がこうしたモデルを採用すると、事業継続が困難になる場合が多いのです。このような状況に対応するためには、以下の点を事前に考慮する必要があります:

  • 必要な資金をどのように確保するか
  • 投資回収期間を現実的に見積もる
  • 継続的にキャッシュフローを安定させる仕組みを構築する

 

事業継続性を重視したモデル構築

事業を継続的に成長させるためには、新規性だけでなく、環境変化に柔軟に対応できる仕組みが必要です。具体的には、以下の要素が求められます。

 

1.市場の変化に対応する柔軟性

現在は革新的とされる商品やサービスも、競合他社が類似のものを投入すれば、瞬く間に差別化が難しくなります。このとき、次の一手を迅速に打ち出せる準備が必要です。

 

2.安定した資金計画

事業を継続するためには、収益と支出のバランスを維持し、急な資金不足に陥らないよう計画を立てることが不可欠です。

 

3.リスク分散の戦略

特定の顧客や市場に依存しすぎると、状況の変化により事業が停滞するリスクがあります。複数の収益源を持つことで、リスクを分散することができます。

 

事業継続性を備えたビジネスモデルの特徴

事業継続性を考慮したビジネスモデルは、以下のような特徴を持っています:

  • 収益が安定している:短期的な利益だけでなく、中長期的な収益計画がしっかりしている。
  • 顧客価値を最大化する仕組みがある:顧客のニーズを満たしながら、自社も持続的に成長できる。
  • 環境変化に強い:市場の変化や競争環境の激化にも対応できる柔軟性がある。

 

たとえば、サブスクリプション型のビジネスモデルは、顧客との継続的な関係を構築することで安定した収益を確保しやすい点で、事業継続性に優れています。また、顧客満足度を高める仕組みを取り入れることで、解約率を低下させる工夫も可能です。

 

結論:良いビジネスモデルとは

良いビジネスモデルとは、新規性や斬新さだけでなく、事業を持続的に成長させるための仕組みを備えたものです。情勢が目まぐるしく変わる現代において、同じモデルを継続的に成功させることは困難です。

だからこそ、環境変化に対応しながら10年、20年と成長し続けられる柔軟なビジネスモデルを目指すことが重要です。短期的な成功に満足せず、中長期的な視点を持つことが、経営者に求められる資質と言えるでしょう。

「革新」と「継続性」を両立させたビジネスモデルを構築し、長く愛される事業を目指しましょう。

 

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