知恵の和ノート
「探せばある」は危険信号! 会社を救う情報ストックの新常識(第560話)
たかがストック、されどストック。資料やデータを探すのに時間がかかっているようであれば、ストックの改善に少し時間を投資することで、より業績の向上にもつながる。
戦略からアウトプットへ、ストックの重要性を考える
独立研究者の山口周さんは、独学のプロセスを以下の4つのモジュールで構成されるシステムとして解説しています。(「知的戦闘力を高める独学の技法」より)
・戦略
・インプット
・抽象化・構造化
・ストック
これは個人の学びに限らず、企業経営において情報やデータを整理し、活用する際にも当てはまります。特に見落とされがちなのが「ストック」の部分。情報の整理と保存が不十分なために、必要なときに必要なデータが出てこないという問題に直面している企業は少なくありません。
情報が「ある」のに「使えない」現実
たとえば、資金繰り改善のサポートを行う際、以下のような資料を拝見する機会があります。
・決算書
・試算表
・資金繰り表
しかし、詳細な分析が必要になると、次のような追加資料をお願いするケースが多々あります。
・部門別や商品別の売上高や利益
・銀行からの借入明細
・主要仕入先との取引金額や取引条件
この際、よくあるのが以下のような課題です。
・部門別や商品別の収益管理がされていない
・借入明細がどこに保管されているかわからない
・請求書や契約書が束になっていて探し出すのに時間がかかる
つまり、「情報そのものは存在している」が、「必要な形で整理されていない」ため、アウトプットに活用できる状態になっていないのです。
ストックの質が業績に直結する理由
経験的に申し上げると、情報のストックが整理されていない会社ほど、資金繰りが厳しい状況に陥っている確率が高いのです。
なぜなら、情報を探す手間がかかるだけでなく、必要なデータをすぐに把握できないために迅速な意思決定ができず、経営における重要なタイミングを逃してしまうからです。
さらに、紙ベースからデジタルデータへの移行が進む中で、データの保存場所が整理されていないことも問題です。「あの資料はどのフォルダに入れたか思い出せない」といった状況は、時間の無駄を生むだけでなく、業務効率全体に悪影響を及ぼします。
ストック改善の具体策
ストックを効率よく管理するためには、シンプルなルールを設けることが重要です。弊社では以下の方法を実践しています。
- 作業中のデータ:現在進行中の業務に関するデータを保存
- 確定分(カテゴリー別):売上、経費、顧客情報など、カテゴリーごとに保存
- 確定分(その他):特殊なデータや頻度の少ない資料をまとめる
このように分類することで、探す手間を減らし、必要なデータを即座に取り出せる状態を維持しています。
ストック改善が生む未来の成果
「たかがストック、されどストック」です。インプットに時間をかけても、ストックを怠ると、アウトプットに活用することができません。
情報を探す時間を削減し、経営判断をスピーディーに行うために、ストックの改善に少しでも時間を投資してみてください。結果として、業務の効率化や業績の向上につながるでしょう。
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