知恵の和ノート
仕事でやりたいことを優先する場合の留意点とは?(第526話)
本人の感情や意思に関係なく取り組むべき仕事あり。それを見極め、仕事のパフォーマンスを上げるには、自分の感情の動きとそこから派生する思考の癖を踏まえて情報を取捨選択し、冷静に決断する。
クライアントさんにアドバイスする際、一番喜ばれる言葉は何だと思われるでしょうか
答えは
「それ、やらなくて良いですよ」
です。
たくさんの情報が飛び交う中、
- 「あれ」もやらなければならない
- 「これ」もやるべきである
- 「それ」もやった方が良いかも
という内容が頭の中に溢れかえっています。
そのような「あれ」「これ」「それ」が本人もやりたいことであれば、こちらが何やかんや言わなくても、すぐに行動します。
先日も普段はレスポンスの悪い方が、ある決定事項をすぐに実行されているのでびっくりしたことがあります(苦笑)。
一方で、「~ねばならない」系は本当はやりたくないことが多いので、
- 「あれ」もやらなければならない→でも、やりたくない
- 「これ」もやるべきである→でも、やりたくない
- 「それ」もやった方が良いかも→でも、やりたくない
となって行動が止まっています。
そのような時、「嫌ならやらなくて良いですよ」とお伝えすれば、10人が10人とも顔がパッと明るくなります。
つまり、人は「嫌だ」「本当はやりたくない」という自分の感情に沿った言葉に触れた際、「この人は自分のことをよく分かってくれる」と感じる訳です。
ただ、ここで気をつけなければいけないのが
- 本人の感情や意思に関わらず、必ずやる仕事はある
- 「やった方が良い」「やらなくても良い」とアドバイスする側は その人の知識や経験に基づいているが、それが必ずしも正しいとは限らない
- 悪意のある人は相手の感情を寄り添うように見せつつ、相手から何かしらのメリットを得ようとする
ことです。
例えば、粗利(売上総利益)の把握。
売上高は把握していても、原材料費や外注費等の売上原価を差し引いた粗利を正しく把握していない先は少なからずあります。
こちらが発行する請求書の合計で分かる売上高に比べ、利益は直接目に見えません。また、仕入先や外注先がたくさんあったり、商品の種類や個数が多かったりすると、売上原価の計算は面倒です。
このため、粗利の把握は「やらなければならないけれど、やりたくない」仕事の一つです。
私は「粗利の把握はやらなくて良いですよ」とは絶対に言いません。一方で、「社長が直接粗利の計算をやらなくても良いですよ」と言うことはあります。なぜなら、社長の本来の仕事は把握できた粗利の数字を基にどうやったら、会社がもっと儲かるようになるかを考えて対策を立てることだからです。
例えば
アルバイト社員を使って粗利の計算をさせる
↓
その数字を元に社長が経営判断する
といった「やり方」はいろいろあります。
人は自分にとって好都合な情報は正しいと考え、自分にとって不都合な情報からは目を背けがちです。けれども、それは人の本性からしたら、ごく自然なことです。そして、前述のように
- 他者のアドバイスは必ずしも正しいとは限らない
- 相手の感情の動きにつけ込もうとする人もいる
ことを踏まえると、情報が溢れかえっている世の中においては
自分の感情の動きや思考の癖を自覚する
↓
それらを踏まえた上で、情報を主体的に取捨選択する
ことが益々大切になっています。
やりたいことを優先すると、時には
・楽な仕事
・今まで通りのやり方でできる仕事
・優先順位は低いけれど、得意な仕事
で多くの時間を費やすことになります。
仕事には、できればやりたくないけれど、会社をさらに良くするために取り組むべきことがあります。
自分の思考の癖が分かれば、それを無理やり治そうとすのではなく、その思考の癖を踏まえた上で、全体を俯瞰して
誰が
何を
いつまでに
どうする
を冷静に決めましょう。
仕事のパフォーマンスは上がり、会社の業績も必ず良くなります。
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