知恵の和ノート
感情が動くポイントが分かると商談もスムーズに進む(第525話)
同じ事象にモヤモヤしても、その対象やその理由は一人ひとり違います。相手の価値観をいったん受け止めて、その価値観を意識しながら言葉を選べば、商談もよりスムーズに進みます。
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
ある出来事に対して「モヤモヤするなぁ」と感じる時、人によってモヤモヤを感じる理由は違います。
先週からニュースで大きな話題になっている大谷選手の元通訳を巡る事件。事実関係がまだハッキリしない段階でも、いろいろなモヤモヤがネット上にも飛び交っています。
仕事で「この人はどんなことに感情が動くのか?」知りたい場合
誰もが知っている話題を取り上げる
↓
どのように感じるかを質問する
↓
その感じるポイントから掘り下げる
という方法があります。
誰もが知っている話題であれば、たいていの場合、最初は同じような感想を述べます。
「ありゃ、ひどいよね」
「あれは可愛そうだなぁ」
「ちょっとお粗末かも」
といった具合に、質問した側も
「まぁ、そうですよね」
と共感できることが多いです。
そこで、次に例えば、「どこが一番ひどいと感じられましたか?」と聞くと、人間関係や信頼に着目する人もいれば、お金の管理や法律の適用のことに言及する人もおられます。
仮に、すごくお世話になった人の信頼を裏切ったことをひどいと感じていることが分かったら、今度は「ある会社でも最近似たようなことがあったんですよ」と言えば、先方はこちらの話に興味を示すかもしれません。
そして、話をしているうちに「目をかけて育てていた社員が半年前に退職した」といった事実が判明したら、
せっかく苦労して育てても社員は突然辞めてしまう
↓
自分の信頼を裏切るなんてひどいことだ
↓
社員教育に力を入れても意味がない
と先方は考えている可能性があります。
このような相手に「人は他人をコントロールすることはできない」という正論をいきなりぶつけても、効果はありません。
もし、前述のように考えている人は「信頼している人は自分を裏切らない」という価値観を持っており、その価値観に反する言動をする人はひどい人だと感じています。すなわち、そこに感情が動く訳です。
この場合、「信頼している人は自分を裏切らないなんて、あなたの考え方は甘いですよ」と言おうものなら、商談であれば、そこで交渉決裂です。
逆に「信頼している人に裏切られるとつらいですよね」といったん相手の価値観を受け入れた上で、「ところで、会社を辞めるということは、本当にあなたを裏切ったことになるのでしょうか?」と違った観点から切り込むと、相手に新しい気づきを与えることができます。
弊社では経営者とのマンツーマンセッションで、その経営者がどのようことに感情が動き、そのような思考の癖があるかを言語化する取り組みを行っています。ただ、これはあくまで弊社の有料コンテンツにお申込みいただいた方向け。
このため、通常の個別相談やスポットコンサルの場合は会話の中で、糸口をつかみ
「この人はこういうことに感情が動くかも?」
「もしかしたら、こんな思考の癖がありそう」
と想定しながら、問題解決への道筋を考えています。
もし、初めてお会いする方との会話をよりスムーズに進めたいなら、アイスブレイクの時間で
誰もが知っている話題を取り上げる
↓
どのように感じるかを質問する
↓
その感じるポイントから掘り下げる
ことは有効です。
ただし、これはあくまでテクニックの一つです。
基本的な姿勢は相手の価値観を否定せずに受け止めること。優秀な人にありがちなのは、問題点が見つかった際、正論をストレートにぶつけて、無意識のうちに相手の価値観を否定してしまうことです。
同じことにモヤモヤしても、モヤモヤする対象やモヤモヤする理由は異なります。
そして、相手がモヤモヤする対象やその理由がお互いに理解できていれば、日常会話もビジネスの商談も、より楽しく、より実りあるものになります。
せっかく良い商品やサービスを持っておられるなら、相手のモヤモヤを機能面だけでなく、感情面でも解決できるよう工夫を重ねましょう。
★まずは自分がモヤモヤする対象や理由をハッキリさせていた方は「こちら」をご覧ください。
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