知恵の和ノート
「人の振り見て我が振り直せ」をマネジメントに活かす(第511話)
人は自分がされて嫌なことを自覚のないまま、他人に対してしていることあり。「人の振り見て我が振り直せ」をマネジメントに活かすなら、「人の振り見て我が身を振り返って仕組みを直せ」です。
人の振り見て我が振り直せ
昔からよく言われていることですが、実際には、「人の悪いところには気がついても、似たようなことを自分もしていることには気づきにくい」のが普通です。
先日もある管理職の方から、最近入社された社員について
「仕事はちゃんとやってくれるのですが、報告や相談がないんです」
というお話がありました。
その管理職の方とはクライアント先の月1回の定例会議で毎回打ち合わせしているのですが、その方も「会議と会議の間の期間については、こちらから問い合わせしない限り積極的に報告や相談がある訳ではない」のです。
つまり、私から見ると、その管理職の方も最近入社された社員の方も、仕事はちゃんとやってくれるが途中の報告や相談が少ないという点では同じです。鏡の法則ではありませんが、「人は自分がされて嫌なことを(自覚のないまま)他人に対してしている」ことがあります。
もちろん、表面的な事象としては同じでもその理由は人によって違います。
仕事をやっていて、途中の報告や少ない要因としては
・何を報告・相談したら良いかが分からない
・やっていないことを指摘されたくない
・他の人にいろいろと口出しされなくない
といったことが考えられます。
このため、その要因別に対策を練る必要がありますが、もし、一緒に仕事をしている中で「途中の報告や相談が少ない」と感じる人がいたら、「自分も同じことを他の人に対してしていないか」と振り返ってみるのが出発点になります。
途中の報告や相談が少ないことが気になるのは
仕事の進捗状況が分からない
↓
彼(彼女)がちゃんと依頼したことをやってくれているかどうかが不安だ
と感じるからです。
その際、相手に対して「あれ、どうなった?」と聞いても、その場限りの対応になり、問題の解決にはなりません。
「自分も人に報告や相談することが少ないのでは?」と振り返ってみて、もし、思い当たる節があれば、「なぜ、自分は人に報告や相談することが少ないのだろう?」と掘り下げてみましょう。
その理由として、例えば
・この前やると決まったことを忙しくてまだやっていない
・ただし、自分は忘れている訳でなく、ちゃんとやるつもりでいる
・そのようなことを他の人に途中で指摘されるのが煩わしい
ということであれば、「何をどこまでやっているのか、仕事の進捗状況が他の人が一目で分かる仕組み」があれば、いちいち報告しないで済みます。
つまり
人の言動が気になる
↓
自分も同じ言動をしていないかを振り返る
↓
もし、そうなら「自分だったらこういう仕組みがあれば八方丸く収まる」というものを考える
↓
その仕組みを取り入れる
という流れです。
人の行動にはその人の思考の癖や感情の動きが大きく影響しています。このため、一つの仕組みを導入すれば、問題が一気に解決するということはありません。
例えば、前述の「何をどこまでやっているのか、仕事の進捗状況が他の人が一目で分かる仕組み」を導入しても、報告や相談が少ない理由が「何を報告・相談したら良いかが分からない」ことであれば、進捗状況を見える化するだけでなく
・仕事において生じる疑問点などをQ&Aにまとめる
・一日一回は声掛けして情報を共有する
・質問しやすい雰囲気を作る
といったことも必要です。
いずれにしても、仕事で何かしら相手の言動が気になる時には、自分の感情が動いている証拠です。
その際、「なぜ、あの人はそうなのだろう?」と考えてみても、相手の深層心理のところはすぐに分かりません。それゆえ、いったん自分に置き換えてみることで何かしらの解決策が導き出されます。
「人の振り見て我が振り直せ」をマネジメントに活かすなら、「人の振り見て我が身を振り返り、仕組みを直せ」です。
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