知恵の和ノート
起業してすぐだと間違いやすい「お客様の声」を仕事で活かす際の留意点(第510話)
お客様の声を仕事で活用するには、耳を傾けるお客様の定義をハッキリさせた上で、「貴重な情報として仕事に活かす」「あくまで参考情報に留める」「気にしないで無視する」に仕分けする。
「お客様の声を聞け」
ビジネスで成功するための秘訣として必ず言われる言葉です。
しかしながら、注意しなければならないのは「お客様の定義」です。
ニーズがあるかないか、お金を払うか払わないかという2軸で考えた場合、お客様の声に耳を傾ける対象として、最も有効なのは「ニーズがあって、お金を払う人」になります。
このため、長くビジネスを続けていて一定数のお客様がいる会社の場合、自社の商品やサービスを実際に買ってくれた人にアンケートを取ったり、インタビューしたりすると、新たなビジネスのヒントが得られたりします。
一方、まだ起業したばかりや、お客様の数が少ない会社の場合
・ニーズはあるけれど、お金を払わない人
・ニーズもないし、お金を払わない人
の声を聞いて、かえって回り道になることがあります。
単に情報収集や自己研鑽が目的で、無料のオファーには申し込むけれど、有料の商品やサービスは買わないお客様は必ずいます。
そのようなお客様にアンケートを依頼して「値段が高いから」という回答が来たから、「やはり値下げした方が売れるのでは?」と考えると、本来のお客様のニーズから外れる恐れがあります。
また、数から言えば、圧倒的に多いのが「ニーズもないし、お金を払わない人」です。
そのような人の大半はこちらから何か問いかけしてもスルーするのですが、中には、親切心や自分の経験を元に「これでは売れないよ」とか、「それよりもここをもっと強調した方が良い」とかいったアドバイスをくれる人達もいます。
そして、そのような人達が過去にお世話になったり、ある分野ですごい実績を残されたりした人だったら、「やっぱりあの人の言う通りかもしれない」という気になったりします。
厳密に言えば、「ニーズもないし、お金を払わない人」はお客様でも見込み客でもありません。けれども、真面目な経営者は「お客様=市場」と捉えて、そのような人たちの声に耳を傾けることも少なくありません。
私自身は経営者にいろいろアドバイスする仕事になりますが、クライアントさんが売っている商品やサービスのニーズが自社のニーズと必ずしもマッチする訳ではありません。そのような場合、クライアントから見ると、私は「ニーズもないし、お金を払わない人」です。
そして、その際には自分が直感的に感じたことではなく、客観的なデータに基づいた仮説をお伝えするように心掛けています。
私も起業して17年を過ぎましたが、いろいろなお客様の声を
- 貴重な情報として仕事に活かす
- あくまで参考情報に留める
- 気にしないで無視する
として上手く仕分けできるようになったのはようやくここ数年のことです。
悪意のある声を無視するのは捉え方を変えればできるようになります。
一方で、難しいのが悪意もなく、先方も良かれと思って言ってくれる声。
それを貴重な情報として仕事に活かすのか、あくまで参考情報の一つとしてストックするかは自社の商品やサービスが
・誰の
・どのような問題を
・どうやって解決するものなのか
をハッキリさせることで、自然と判断できるようになります。
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