知恵の和ノート
ビジネスチャンスをつかむ嗅覚に磨きをかける(第506話)
VUCAの時代は、経営者の頭の中で計算している勘定と、実際に会社が直面している勘定を整えることが肝要。視覚も聴覚もフルに活かしてビジネスチャンスをつかむ嗅覚に磨きをかけましょう。
「もっと売上が上がりそうな気がしてきました」
あるクライアントさんとの打ち合わせの際、最後に言っていただきました。
弊社では「感情と勘定を整えて、したたかに生き抜く会社をつくる」仕事に取り組んでいますが、私の場合は主に「勘定を整える」方を担当しています。
その日も、あるプロジェクトでどのくらい売上が見込めるかについて、私の方でいろいろ質問していました。
例えば
「その売上はどのカテゴリーに入りますか?」
「その単価はいくらを見込んでいますか?」
「この売上の根拠は?」
といった具合です。
感情を整える方は、人によって何に心が動くのかが違うので、パターン化するのは難しいです。一方で、勘定を整えるの方については、ある程度パターン化することができます。
売上高を増加させるには、大きく分けると
・価格を上げる
・数量を増やす
の切り口しかありません。
また、売っている商品が複数ある場合は「どの商品をいくらで何個売るのか」が分かっていないと、売上の見込みが立ちません。
中小企業の経営者は、頭の中では
・どの商品をいくらで何個売るのか
・その際、いくらの利益が出るのか
・また、売上金はいつ頃入ってくるのか
を概ね把握されています。
しかしながら、忙しかったり、商品の数が多くなったりすると、「経営者の頭の中で計算している勘定と実際に会社が直面している勘定との間でズレが生じる」ことになります。
経済が右肩上がりで、前述のズレが上振れして、売上もどんどん上がるし、利益も自然と積み上がっていく状況であれば、問題ありません。
けれども、昭和の高度成長期はとっくに終わり、VUCAの時代とも言われる令和においては「経営者の頭の中の勘定と会社の実際の勘定が整わない」状況はリスクが大きいです。
冒頭のクライアントさんの場合も、かなり頭の中が混乱されていたのようなので、対話を繰り返しながら
商品A:売上300万円
その内訳は
A-1:100万円×1個
A-2:50万円×2個
A-3:25万円×4個
商品B:500万円
その内訳は・・・・・
といったように書き出して可視化したことで、「商品A-1はもう少し売れるかも」とご自身の中で腹落ちされました。
これはパソコンで貯まったデータを整理すると動きが速くなるように、売上に関する情報を整理したことで、頭の中がクリアになり、「ここにまだ伸びしろがある」と気づかれたのではないでしょうか。
頭の中で理解していることと
紙やパソコンを使ってアウトプットする
↓
アウトプットした内容を目でも確認する
ことでは気づくという点で雲泥の差があります。
しかも、前述のケースでは
第三者から質問される
↓
その声を耳で聞き取って口頭で質問に答える
ということを行ったので、目だけでなく耳も口も使ったことになります。
事業を長く続けておられる経営者は何かしらの嗅覚がきく方が多いです。
経済環境が大きく変わる中でも、さらに会社を成長させるために、頭の中だけであれこれ考えるのでなく、視覚も聴覚もフルに活かしてビジネスチャンスをつかむ嗅覚に磨きをかけましょう。
なお、エグゼクティブ・コーチング「社長の酸素カプセル」は、「感情面」「勘定面」の両方を整えるサポートの中の大事なひとつです。詳しくは「こちら」をご参照ください。
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