知恵の和ノート
予算管理ではアクセルとブレーキの踏み分けが肝要(第505話)
予算管理では収益として計算できないお金は上限を決め、収益で計算できるお金は上限を柔軟に変えるなどアクセルとブレーキを踏み分ける。
A:この商品(単価50万円)は予算100万円をFacebook広告に使えば10個売れます。
B:この商品は商品名を◯◯から××に変えることで、もっと売れます。
もし、あなたが二人の部下からそれぞれAとBの提案があったとしたら、どちらの提案を採用されるでしょうか?
Aの場合
100万円の投資→500万円の売上(50万円×10個)→400万円のプラス
となります。
仮に商品の1個あたりの原価を25万円とすれば、
150万円の利益=400万円-250万円(25万円×10個)
が残る計算になります。
一方で、Bの場合。
もっと売れるという場合の「もっと」がどのくらいかが曖昧です。
しかしながら、商品名を変えて、売る対象や見せ方を変えることで時には爆発的に売れる可能性があります。
銀行に事業計画を出す際には、数字的に説明しやすいAのような提案なら今後の見通しとして織り込みやすいです。一方、投資家などハイリターンを求める人には、多少曖昧でもBのような提案の方が好まれる場合があります。
いずれの場合も、お金を使う際に
・根拠
・確実性
・可能性
といった観点から多面的に判断することが必要です。
「資金繰りを回すプロは経営者である」とセミナー等ではよくお話していますが、そうは言っても、経営者によって確実性を好む人もいれば、大きな可能性にかける人もおられます。
これは個人の嗜好にもよるので、どちらが良くてどちらが悪いということはありません。
ただ、資金繰りを回すプロとして、経営者が会社経営を安定させたいなら
- 計算できないお金の使い方
- 計算できるお金の使い方
を分けて管理することがポイントです。
Aの提案のように、数字的な根拠があって、「100万円支出しても、10個売れたら差し引き150万円の利益が残る」ことがある程度分かっていれば、
最初は100万円投資
↓
次は150万円投資
↓
その次は300万円投資
といったようにお金を投資することで、売上と利益を確実に伸ばしていくことができます。
一方で、Bの提案のように、感覚的には良さそうでも、数字的な根拠が乏しい場合は「まずは地域を限定して、少量販売してみる」といった対策が必要です。
一言で予算管理と言っても、収益との関連で
- 計算できないお金の使い方→上限を抑える「ブレーキ型予算」
- 計算できるお金の使い方→必要なら上限を変える「アクセル型予算」
があります。
もちろん、会社全体のバランスを見ながらブレーキとアクセルを踏み分け、予算管理をする必要はあります。
ただ、売上を確実に伸ばしている経営者に共通するのは、ブレーキとアクセルの踏み分け方が上手いということ。
逆に業績が伸び悩んでいる経営者の場合は、本来ブレーキを踏むべきところでアクセルを踏んだり、アクセルを踏んだ方が良いところで躊躇してなかなかアクセルが踏めず、ブレーキをかけていたりしています。
人の個性や考え方はすぐには変わりません。そして、自分の嗜好や癖はなかなか自分では気づかないことがあります。
ただし、経営者の個性や考え方に関わりなく、会社の数字やお金に関することは一定の客観性を持って管理することが求められます。
資金繰りなど会社の予算に関することは経営者の頭の中だけで計算するのではなく、データとしてしっかり可視化しましょう。
ヒーズでは、弊社の日頃の活動内容や基本的な考え方をご理解いただくために、専門コラム「知恵の和ノート」を毎週1回更新しており、その内容等を無料メールマガジンとして、お届けしています。
上記のフォームにご登録いただければ、最新発行分より弊社のメールマガジンをお送りさせていただきます。お気軽にご登録いただければ幸いです。