知恵の和ノート
仕事の無茶振りは人が大きく成長するチャンス(第504話)
社員は社長の「やりたい」ことを無茶振りすることで鍛えられるが、起業したら、自分が本当に「やりたい」ことを設定しつつ、そこから逆算して意識的に自分に無茶振りする。
サラリーマン時代、上司から仕事で無茶振りされたご経験はあるでしょうか?
最初の勤め先である銀行の時には大きな組織として一定のルールがあるので、それほど無茶振りされた記憶はありません。
一方、2社目のイーバンク銀行(現楽天銀行)の時はゼロから新しくインターネット専業銀行を立ち上げるというステージだったので、かなりの無茶振りがありました。
無茶振りにの中には、夜も9時を過ぎた段階で「この資料を今日中に作って!」といった仕事の段取りの悪さから発生する無茶振りがあります。このような無茶振りは当然のことながら「それさぁ、もっと早く言ってよ」というストレスが溜まります。
一方、社長が「これをやりたい!」とアイデアだけ出して「あとはよろしく!!」といった無茶振りもあります。
このような無茶振りは一瞬、「えっ なにそれ?」とびっくりするのですが、後から振り返ってみると、自分のスキルや能力の向上につながっていました。
社長と私とでは年齢も考え方も経験も違います。そして、「これをやりたい!」と感じる対象も異なります。
したがって、自分ではなかなか思いもつかないようなお題が与えられる中で、どうやったら、そのお題が実現できるかを考えて手を打つことは、例えて言えば、今まで使っていなかった筋肉を使うことで、身体がより鍛えられ、運動能力がアップするという感じです。
このように、会社に勤めている時は「自分以外の第三者がやりたいことを理解してその実現に向けて、知恵を絞り、手足を動かす」ことを何かしらの形でやる(やらされる)ことになります。
しかしながら、起業した後は「自分がやりたいことをハッキリさせてその実現に向けて、知恵を絞り、手足を動かす」のがベース。
その際、気をつけたいのは「自分のやりたいことを自分ができることや自分が経験したことをベースにして考える」ことが多いということです。
それ自体けっして悪いことではありません。けれども、サラリーマンとして社長から無茶振りされた時と比べると、やりたいことの対象がどうしても小粒になりがちです。
過去や現在の自分を起点にしてやりたいことを考えると
・自分は長年〇〇をやってきた
・あの時××に挑戦したけれど、上手くいかなかった
というケースなら、多くの人は××ではなく〇〇をベースにして、「□□が自分のやりたいことだ!」となります。
でも、そのような発想の下で生まれた自分のやりたいことをベースにして、仕事を続けているといつかは大きな壁にぶつかります。
なぜなら、人は本能的に苦を避け、楽を求めるので、「過去に失敗したことはできるだけ避けたい」と考えるし、「この仕事なら今までの経験やノウハウをベースになんとかできそうだ」と感じるのが普通だから。
言い方を変えると、
自分で自分に対して無茶振りするのは難しいので自分のスキルや能力もあまり鍛えられない
↓
現状維持、現状肯定の方向に流されるのが一般的
↓
やがて大きな壁にぶつかる
ということです。
もし、「最近なかなか仕事が上手くいかないなぁ」と感じておられるとしたら、その要因は自分のできる範囲の中でやりたいことを見つけようとしているからかもしれません。
そういう時は、自分の持っている常識をいったん捨てて「何の制約もなかったら、何がしたいのか?」を自分に問うてみましょう。
そして、もし、運よくそのゴールが見つかったら、ゴールを達成するために必要なことをピックアップし、自分に無茶振りしてみましょう。
もしかすると、仕事で思ったほどの成果が出ないのは、いま目指そうとしているゴールが現状に近すぎる可能性ありです。
なお、「自分に問う」と言っても、慣れないうちはなかなか難しいです。その際は第三者の力を借りて、ゴールを見つけ、自然と自分に無茶振りできる仕組みを整えるのが有効です。
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