知恵の和ノート

2023/10/10

「社員が分かってくれない」という二代目社長からのご相談を受けて(第501話)

カテゴリー :経営者

二代目社長は就任当初は孤軍奮闘に陥りがち。ただ、悩んでいる時間があるのはある意味恵まれている証。落ち込んで行動を止めるのではなく、社員に自分の考えを浸透させたいなら聞かせるために知恵を絞りましょう。

「社員が分かってくれない」というご相談を受けて

社員がなかなか分かってくれない

二代目社長が就任して直面する問題の一つです。


オーナー経営の場合、社員は「誰が一番力を持っているのか」をよく観察しています。

例えば、息子さんが社長を引き継いでも、父親である先代社長が実質的な権限を持っている場合。社員は社長の指示に「はい、分かりました」と返事をしても、実際には行動しないことがあります。

手書きによる報告を止めて、システムを使ってデータに基づいて効率化を図りたいと二代目社長が考えていても、先代社長はシステムにあまり詳しくない(もしくは関心がない)ことも多いので、業務改善が進まないというケースもあります。


ある会社では二代目社長が「今度からこのシステムを使います」と指示を出しても、「使い勝手が悪い」「面倒くさい」「入力している時間がない」といった理由を掲げて、一部の社員が新しいシステムを利用しないといった状況がありました。

ここで大切なのは、「どちらがより強い思いを持っているか」です。

 

一部の社員が指示に従わないことに落ち込んで社長がそのシステム導入を諦めてしまうと、社員は「やっぱり社長も本気ではないんだ」と感じます。

すると、次に別の指示を出しても「まぁ、そのうち言わなくなるから」と思って、指示に従わない社員がさらに増える恐れがあります。


そこで、我々の方から前述の二代目社長にアドバイスしたのは、「期限を切ってシステムの利用を徹底しましょう」。

その後、社長は

・今月中に社員全員がシステムを使うこと

・来月からは手書きの報告は一切受けつない

を社員にも周知徹底した結果、ようやくそのシステムの本格的な利用が始まりました。


会社の中の力関係からすると、事業承継しても創業者が引き続き社内にいるケースでは、社員はどうしても先代社長の顔色を伺います。

また、中には代表権を譲っても、いろいろと細かい指示を出してこられる創業者もおられるので(苦笑)、二代目社長が新しい施策を打ち出しても社員がなかなか分かってくれないという状況がどうしても起こります。


このように自分の思う通りに経営したいのに実際には思う通りにはならないという現実に二代目社長はどのように対応したら良いのでしょうか。


この部分は業歴が長く何代にも渡って事業承継している会社の場合には、先代社長も少なからず同じような悩みを経験されています。

一方、会社設立以来初めての事業承継となる二代目社長の場合は、創業者である先代社長が同じような悩みを経験していません。

このため、自分自身でなんとかして、その悩みを乗り越えなければならないところがつらいところです。


ただ、経営者の場合、力は誰かにつけてもらうものではなく、自分自身で少しずつ蓄え、磨いていくものです。

別の二代目社長の方は「就任されて約10年経った頃、創業者である先代社長は経営に一切口を挟まなくなった」とおっしゃっておられました。最初は孤軍奮闘されていましたが、「こうすれば会社はもっと良くなるはずだ」という自分の信念に沿って地道に実践を積み重ね、リーマンショック等の経済危機を乗り越えられたのです。


どんなに優秀な経営者であっても、時には「自分が正しい」と思って判断したことが思ったような成果に繋がらないということもあります。

けれども

  • 失敗を恐れて何もしない経営者
  • 失敗を活かして次々に手を打つ経営者

であれば、長期的に見て、どちらの経営者が業績を伸ばすかは明らかです。


創業者と違って二代目社長の場合は、社長に就任した時点で一定の業績やそこで働いている社員などがいます。

それゆえ、どうしても「会社を守らなければならない」「そのために失敗は許されない」と考えがちです。


けれども、創業者はいろいろと苦労を重ねる中で今の業績を築いたように、二代目社長も思う通りにはならないことは必ずあります。

ただ、一つ言えるのは、業績が悪くて事業再生のステージで事業承継したケースでない限り、二代目社長は創業者に比べるとかなり恵まれているということ。


「社員がなかなか言うことを聞いてくれない」と社長が悩んでいるのはまだまだ余裕のある証拠。

「聞かぬなら殺してしまえ」ではどこかの元副社長と一緒で問題ですが(汗)、「聞かぬなら聞かせてみよう」と積極的に動くのか、「聞かぬなら聞くまで待とう」と鷹揚に構えるかはご本人の考え方次第。

少なくとも社員に自分の考えを浸透させたいなら聞かせるために知恵を絞りましょう


なお、弊社では「勘と経験と気分で経営するオーナー経営から仮説と検証と共感で人を巻き込む会社経営へ」進化させたい二代目社長をサポートしております。

社内にしかるべき相談相手がいない場合、客観的な観点からメンター的にいろいろな相談にのってくれる人の存在は必要です。特に中小企業の場合、やはり社長がどのように考えてどう行動するかによって、業績は大きく変わります。

最近自分の思うような経営ができずに諦めがちな二代目社長からのご相談をお待ちしております。

 

弊社へのご相談やお問い合わせは「こちら」から承っております。

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