知恵の和ノート
その理想は単なる願望なのか、本気で実現したいものなのか(第499話)
すぐには実現不可能でも理想を本気で目指さずに満足しない現実に浸っていると、やがては理想とは真逆の状況が現実になる恐れあり。
「本当にやりたい仕事をできていますか?」
もし、このように質問されたら、皆様ならどのように回答されるでしょうか?
この質問に「できています!」と即答できる人は良いのですが、そうではない場合、どのような理由で本当にやりたい仕事ができていないのでしょうか?
・お金が足りない
・時間が足りない
・人が足りない
何かしらのご相談があった場合、理想と現実とのギャップとして何があるのかを質問すると、たいていは「◯◯がないから」という回答が返ってきます。
このような場合、解決策として「ない」を解消するための案を提案しても、根本的な問題解決にはならないことが多いです。
例えば、「お金が足りない」という場合。
・銀行から新たに借入する
・銀行に借入金の返済を一定期間猶予してもらう
等の方法によって、一時的にお金が足りない状況を解消することができます。
けれども、その状況を有効に活用して「本当にやりたい仕事をやるための布石を打つ」ことをしないと、「目の前の仕事がたいへんで新しいことに取り組む時間がない」といったように、また新たに「できない」理由を見つけて、現状があまり変わらないということが起こります。
そこで、最近では「本当にやりたいのはこういう仕事です」という回答があった際に、
「それは単なる願望ですか? それとも本気でやりたいものですか?」
とお聞きしています。
単なる願望として「こういう仕事ができたら嬉しいよね」という状況では何か壁にぶつかった際にどうしても現状維持の方向に思考が働きます。
例えば、「お金が足りない」という問題が解決しても、「時間が足りない」という問題を解決しようとせず、「まぁ、忙しいから仕方がないよね」と現状を変えようとする動きが止まってしまうのです。
一方で、本気でやりたいものであるなら、「時間が足りないけれど、1日1時間だけはやろう」というように、制約条件がある中でもなにかしら新たな行動に結びつけようとします。
したがって、「本当にやりたい仕事をできていますか?」という質問に対し、まだ本当にやりたい仕事を明確に自覚できていないのであれば、単なる願望で「こういう仕事がしたい」と答えるよりは、「まだ本気でやりたい仕事が見つかっていない」という答えの方が自分の感情に正直な分、大きく飛躍する可能性があります。
起業したからといって、本当にやりたい仕事ができるとは限りません。また、会社が事業を続けていくには本当はあまりやりたくないけれど、売上を確保するためにやらざるを得ない仕事もあるかと思います。
その際、会社として「本当にやりたい仕事をできるという方向を本気で目指すかどうか」は経営者が仕事をどのように位置づけるのかによります。
そこはあくまで自由意志の原則に基づきます。
ただし、間違いなく言えるのは「単なる願望だけの人は本気で取り組む人には絶対に勝てない」ということ。
会社を経営している以上、理想と現実とのギャップは必ずあります。そして、人は本能的に変化を嫌うので、たとえ満足していなくても、どうしても現実に引っ張られる傾向にあります。
ただ、解決しなければならない問題から目を背け、満足していない現実に浸っていると、やがて理想とは真逆の状況が現実になる恐れもあります。
すぐには実現不可能でも理想を本気で目指すのか、すぐには現実にならなくても最悪の状況に陥るのか。
どうせなら自分が腹落ちする理想を目指しましょう。
なお、好きなことを仕事に選んだはずなのに、自分の思う通りにならないと感じておられる方は「こちら」が解決の糸口になります。
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