知恵の和ノート
社長は代わっても路線は大きく変わらない前提で仕事を仕切り直す(第497話)
社長が交代する時は経営理念に立ち返り、何をそのまま引継ぎ、どこをどう変えていくのかをハッキリさせて仕切り直す。
勝てば官軍。
大きな政権交代があった時に、自分の方が正しいと主張するために、勝者は負けた方を悪く言うのは古今東西どこでも同じです。
石田三成は官僚的で人としての器が小さい。そんなイメージを多くの人が持っているのは、彼が関ヶ原の合戦で徳川家康に負けたからというのも一因です。
逆に明治維新では、徳川幕府から薩長土肥中心の新政府に変わったために、徳川方のやり方が否定されるのは、ある意味当然の流れ。
いずれにせよ、政権交代があった後は、勝者の側の主張が前面に出るのは避けられないところです。
これに対して、会社で社長の交代があった時はどうでしょうか。
多くの中小企業では前社長が自分の後任を指名します。
このため、新社長は前社長のやっていたことを公然とは批判しづらいのが普通です。
特に前社長が会長に就任して、にらみを利かせている間は、表向きは社長に権限があるけれども、実質的に会社をコントロールしているのは会長だという会社も少なくありません。
したがって、前任者が不祥事で辞任した場合や業績不振の責任を取って辞めたケースを別にすると、「社長の交代=路線の大転換」とはなりません。
幕末と違って情報化が進んでいる現代では、「今までのやり方はすべて間違いでした」と主張しても、ちょっと注意して見ていれば、「本当にそうだろうか?」と疑問を挟むことができます。
一方で、前任者が「今まではこのやり方で上手くいった」と言っても、会社を取り巻く環境が劇的に変化している中、従来の成功体験がそのままでは通用しなくなりつつあります。
だから、社長が交代する時は、全否定でも全肯定でもなく「何をそのまま引継ぎ、どこをどう変えていくのかをハッキリさせて仕切り直す」必要があります。
その際のポイントは「会社の経営理念に立ち返って見直す」こと。
つまり、普段行っている日常業務よりも上のレベルで考えて、変えるべきものと続けていくものを仕分けするという姿勢が大事です。
「あり方」はしっかり定まったものであれば、それほど変わるものではありません。けれども、「やり方」は時代の変化に応じて柔軟に対応すべきです。
社長交代であれ、政権交代であれ、混乱はつきもの。
けれども、今議論しているのはどのレベルの話なのかをハッキリさせないと、必要以上の混乱を招きます。
経営理念に沿った目標を定めた際、その目標を達成するために
戦略
↓
戦術
↓
仕事
が決まります。
価値観が多様化している現在において、同じ目標に向かって皆で走っていくにしても、全員の意見がまったく同じということはありません。
そして、一見正反対に見える考え方であっても、突き詰めていくと、実は同じところを目指しているということがあります。
このため、意見の相違が出た際には、それが
・戦略の問題なのか
・戦術の問題なのか
・個別の仕事の問題なのか
を仕分けして議論することがポイント。
たいていは細かい個別の仕事のやり方でいろいろと意見が食い違うことが多いです。
組織として動く以上、意見の違いはあっても一定の共通する認識の下で仕事に取り組むことが求められます。
長く事業を続けている会社は社長が交代しても、「会社としてありたい姿は代々引き継がれる×会社としてやるべきことは柔軟に変えていく」という二刀流です。
個人レベルではなく、法人としてどうなのかを冷静に見極めることができれば、社長が変わっても、息の長い安定した会社になっていくのではないでしょうか。
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