知恵の和ノート
「できる」と「する」との間の溝を埋める(第496話)
「できる」と「する」との間の溝を埋めるには「勘定」を整えるとともに「感情」を整える必要あり。
「できる」と「する」との間には深くて大きな溝がある。
一橋大学大学院教授の楠木建さんの著書「経営センスの論理」の中の一節です。
先日もある打合せの際、この話題になりました。
ある商品において「できる」機能はたくさんあっても、お客様がその機能を全部利用「する」とは限りません。
また、私たちのセッションでも、クライアントさんに「今週中にこれはできますか?」とお伺いして、「できます!」という回答があっても、クライアントさんが「これ」をするかどうか分かりません。
このため、「できる」と「する」との間の溝を埋めるには何かしらの工夫が必要になってきます。
弊社の場合はこの溝を埋めるために
- 感情を整える
- 勘定を整える
の二つの側面からアプローチしています。
後者の「勘定を整える」について言えば、「当面のお金と時間のメドをつける」ことが多いです。
今月末の資金繰りが厳しいという会社に対しては、まずは月末を乗り切れるように動くことが再優先です。
また、当面の資金繰りに問題はなくても、抱えている仕事がたくさんあって新しいことに挑戦する時間的な余裕がない場合は
・止めることを決める
・外注や業務委託の利用を進める
といったことに取り組んでいます。
先日もあるクライアントさんにオンラインで業務を一部アウトソーシングするサービスをご紹介しました。
いずれにしても、人によってどのくらいあれば充分かは異なりますが、
・お金の余裕
・時間の余裕
がないと、「できる」ことであっても、実際に「する」ことにはつながりません。
一方で、お金と時間にある程度余裕がある場合でも、「できる」が「する」につながらない場合があります。
・気持ちが乗らない
・興味が湧かない
・面白くない etc.
「勘定を整える」については
・数字で分かる
・業務フローで分かる
・指示命令系統で分かる
といったように一定のビジネス経験を積んでいくと「ここを直せば改善する」というのがおおよそ検討がつきます。つまり、一定の論理が働きます。
しかしながら、「感情を整える」については
・一人ひとり感情が動くポイントが異なる
・同じ人でも状況によって感じ方が変わる
・なかなか本音を表に出さない人もいる
ために、一筋縄ではいきません。
このため、何かしらのご提案をする際には「相手の感情にできるだけ寄り添う」ことを意識しないと、一生懸命考えた問題解決策が実行されないままになります。
勘定を整える方の
・お金の余裕
・時間の余裕
については、気持ちの余裕につながります。
しかしながら、感情を整える方に関しては、気持ちに余裕があればOKとはいかないのが難しいところ。
例えば「今すぐやらなくても大丈夫かも」と思ってしまったら、たいていの人はできることを先延ばしにします。それを避けるためには、ある程度危機感を持ってもらうことも必要です。
けれども、危機感を持ってもらうべくやってもらったことが「こんなのは自分には無理だぁ」と感じてしまっては途中で行動が止まってしまう恐れがあります。
このため、難易度としては「感情を整える>勘定を整える」です。
そして、弊社では、私が「勘定を整える」の方を主に担当し、より複雑で面倒な「感情を整える」の方は取締役が主に担当しています。
渋沢栄一の「論語と算盤」ではありませんが、感情の要素も勘定の要素も事業を続け、会社をさらに成長させていくには必要不可欠です。
皆さんの会社では「できる」を「する」にするために
- 感情を整える
- 勘定を整える
という二つの観点からすれば、どちらからのアプローチがより有効でしょうか?
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