知恵の和ノート
広報と財務は継続して取り組んでこそ意味がある(第492話)
広報と財務は続けてこそ意味あり。広報は商品の価値を多面的に言語化するプロセスを経て、商品の見せ方や伝え方が変わり、財務は数字の検証を経て、どこに経営資源を投入すれば効果があるかがだんだんと分かる。
先日「広報と財務の共通点は実績と解釈におけるバランス感覚にあり」という記事を書きました。
内容を簡単にまとめると
・実績(事実)は客観的な視点から「共有」を意識する
・計画(解釈)は読み手の思いも頭に入れて「共感」を意識する
です。
実は、広報と財務の共通点はこれ以外にもあります。それは「続けてこそ意味がある」です。
これを
- 広報と広告
- 財務と経理
をそれぞれ比較して考えてみると、ご理解いただけるのではないでしょうか。
広報と広告の違いは
- 広報:お金をかけないで認知度を上げる
- 広告:お金をかけて認知度を上げる
です。
つまり、広告の場合は広告宣伝費というお金を使うことで会社や自社商品のことを知ってもらい、売上アップにつなげる方法です。
この場合、「広告を出す→一定の売上が上がる」というサイクルを作れば、広告を出し続けることができます。けれども、「広告を出す→思ったほど売上が上がらない」状況の場合は、よほどキャッシュリッチの会社以外は続けていくことができません。
また、広告の場合は
・毎月1,000万円の広告宣伝費を使える会社
・毎月50万円の広告宣伝費を使える会社
であれば、明らかに前者の方が有利です。
一方で、広報の場合。
もちろん、プレスリリースを使って情報発信する際、郵送する場合は郵送料、記者クラブに持っていく際には交通費等がかかります。また、最近はPRTIMESなど有料でプレスリリースを配信してくれる仕組みもあります。
けれども、基本的にはお金をかけないでできる仕事になります。このため、会社の大小や予算の有無は関係ありません。
したがって、経営者が「やり続けよう」と思う限り続けられる仕事です。
もちろん、お金を使わない分、より高い質が求められます。また、単なる商品の宣伝のような内容だと中小企業の場合は記事として取り上げられません。
けれども、前述のような「やり続けよう」という意思と根気さえあれば、会社が続く限り続けていけます。
一方の財務。
年に1回は決算書を作り、税金を納める必要があるので専任の担当者がいるかいないかに関わらず、会社は経理の仕事をずっと行っています。
しかしながら
・毎月の売上と利益の数字を把握する
・その数字を基に必要な対策を打つ
・対策を打った結果を検証して、さらに改善を図る
といった仕事はどうでしょうか。
お金が足りなくなって、銀行から融資してもらうために、その直前に慌てて資料を作るということはあっても、前述のような「会社の数字を見ながら、必要な対策を実行する」という行動を継続して続けている会社はあまり多くありません。
けれども、数字は
・過去の実績を正確につかんで検証する
・その際、時系列、部門別、商品別といったように切り口を変えて分析する
ことで、初めて価値を発揮します。
決算書を作って、税金を納めるだけなら、年1回1ヵ月ほど集中して取り組めば対応可能かもしれません。
しかし、会社の持続的な成長を実現したいなら、「少なくとも毎月1回は会社の数字と向き合って必要な対策を考える」時間が必要です。
広報や財務の場合
- 広告:広告を出すことですぐに結果が分かる
- 経理:決算書を作ることで税金を納める
という目に見える効果があるのと比べると
- 広報:プレスリリースを出しても取材されないこともある
- 財務:毎月お金と向き合っても、すぐに売上アップにつながるとは限らない
という特徴があります。
このため、やり始めても途中で止めてしまったり、銀行からお金を借りる時だけ対応することで終わってしまったりすることが多いように思います。
しかしながら、
- 広報:たとえ取材につながらなくても、商品の価値をいろいろな側面から考えて言葉にすることで商品の見せ方や伝え方が変わる
- 財務:たとえすぐに売上につながらなくても、どこによりお金と人と時間を投入すれば効果があるかがだんだんと分かる
という効果があります。
今はコスパやタイパと言われるように効率性や即効性を重要視する動きが盛んです。このため、地味な仕事はどうしても敬遠されがちです。
けれども、継続は力なり。敬遠されがちな仕事を愚直に続けていくことで、会社の資産は必ず増えます。
ヒーズでは、弊社の日頃の活動内容や基本的な考え方をご理解いただくために、専門コラム「知恵の和ノート」を毎週1回更新しており、その内容等を無料メールマガジンとして、お届けしています。
上記のフォームにご登録いただければ、最新発行分より弊社のメールマガジンをお送りさせていただきます。お気軽にご登録いただければ幸いです。