知恵の和ノート
社長が経営力を発揮するにはメタ認知能力を鍛える(第485話)
社長が経営理念に沿って会社経営を実践するには、ノウハウや知識をいろいろと学ぶ前にメタ認知能力を鍛えるのが有効である。
中小機構(中小企業基盤整備機構)の調査によると、「先代から事業を引継いだ時に苦労した点」について、経営者にアンケートを取ったところ、第1位に上げられたのが「経営力の発揮」でした。
ちなみに、
第2位:金融機関からの借入
第3位:取引先との関係の維持
だそうです。
事業承継では、相続税の問題や株式譲渡の問題、銀行借入の保証人の問題など、クリアすべき問題がたくさんあります。けれども、事業を引継いだ時はもちろんのこと、引継いだ後も常に問題となるのは、経営力です。
かの松下幸之助さんも、「経営力のない人が会社の社長になったら、会社がつぶれてしまう」と言っておられるように、事業承継するかしないかに関わらず、いかにして経営力を発揮するかは絶対に避けては通れない課題です。
では、そもそも経営力とは何なのでしょうか?
私が今しっくりしている定義は「経営力=経営理念を実践する力」です。
つまり、ビジョンを定め、ミッションを明確にし、会社が提供する価値(バリュー)を言語化して、それを日々の仕事の中で実践する力です。
このように考えると、経営力を発揮するには、社長一人が頑張ってもダメであることが分かります。社員を巻き込み、取引先の信頼を得なければ、経営力は発揮できません。
また、会社として利益を上げる体質になっていないと、経営理念に沿って活動を続けていくことができません。
そうなると、マネジメント能力だけでなく、営業力も必須ですし、マーケティング的な素養も求められます。
そして、マネジメント能力をつけるには、コミュニケーション力も問われるし、最近ではコーチングのスキルも必要です。
その結果、社長には幅広い能力と深い知識が求められ、際限なく学び続けることが課せられます。
では、「経営力を発揮するために、社長が一番最初に身につけたら良い能力は何か?」と質問されたら、私の答えはメタ認知能力です。
「メタ認知」とは、自己の認知活動(知覚、情動、記憶、思考など)を客観的に捉え、評価した上で制御することを意味します。そして、認知し、評価し、制御するサイクルができる能力が「メタ認知能力」と呼ばれています。
言い換えると、
- 一つのことを点ではなく、高い視点から多面的に捉えること
- その認識を基に、目の前の課題に対応し、将来の課題にも備えること
が社長が経営力を発揮するために必要です。
もし、経営者がこのメタ認知能力を持っていれば、
・経営理念に沿って決断する
・ピンチになっても、チャンスとして活かす
・自分の苦手なことは人に任せる
ことが可能になります。
メタ認知能力は、いわば自ら考え、実行する力。
ノウハウや知識をいろいろと学ぶ前に、その基礎となる力を先に鍛えた方が中長期的には早く成果につながります。
なお、中小企業の場合、「社長の考え=会社の方針」なので、実際にはそれを見直す機会があまりありません。また、社内で意見を求めても、「社長の言うことには怖くて反論できない」ということがあったり、その業界の常識や従来からの慣習に囚われてしまって、斬新なアイデアが出てこなかったりというケースがあります。
この点、「社長専任の社外チーム」と定期的なミーティングを行うことで、社長は「第三者からは会社はどう見えるのか」を常にチェックでき、かつ多面的な意見を取り入れることができます。
経営力を鍛えるために、ぜひ「社長専任の社外チーム」のご活用をご検討いただければ嬉しく思います。
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