知恵の和ノート

2023/04/04

人が代わって仕事のレベルを落とさないためのひと工夫(第474話)

カテゴリー :業務改善

人が代わって仕事のレベルを落とさないためには「0.できない→1.教えたらできる→2.一人でできる→3.仕事内容を改善できる→4.人に教えられる」という評価基準を設定する。

人が代わっても仕事のレベルを落とさない

先月の専門コラムで「人が代わるタイミングは仕事の内容や手順を見直す大きなチャンス」であるとお伝えしました。

しかしながら、実際の現場においては

人が代わる
 ↓
仕事のレベルが落ちる

という状況がどうしても生まれがちです。


新しい人が入社して、新しい仕事を始める時、最初は

0.できない

がスタートです。


そして、

1.教えたらできる
  ↓
2.一人でできる

という段階に進んでいきます。


0→1→2とステップアップしていく際、どのくらいの時間がかかるかは

・仕事の内容
・教える人の教え方
・教わる人の学び方

によって変わってきます。


伝統的な技術などを継承する場合は10年以上かかるかもしれません。一方で、単純な事務作業であれば、1~2日で一人でできるようになることもあります。

いずれの場合も、仮にレベル2の「一人でできる」ようになっても、

・上手くいって前任者と同じ水準
・下手をすると、前任者よりもやや低い水準

の仕事に留まることが多いです。

 

このため、仕事のレベルを評価する際に「一人できる」を一人前基準としていると、経験や知識の差がどうしても出るので、会社全体として仕事のレベルが落ちることがあります。

そこで、よくあるのは「人に教えられる」という基準を設けて、それを一人前基準とするケースです。


自分が自分でできることと自分ができることを人に教えられるようになることでは求められる知識やノウハウが異なります。人に教えることで、教えた側が新たに気づくことも多いので、これは有効な方法です。

けれども、この場合、下手をすると、「前任者から教えてもらった通りのことをそのまま次の人に教えてしまう」ことがあります。すると、劣化コピーではありませんが、「人が代わるにつれて、だんだんと仕事のレベルが落ちる」ことを防げません。


そこで、お勧めは

1.教えたらできる
  ↓
2.一人でできる
  ↓
3.仕事内容を改善できる
  ↓
4.人に教えられる

という評価基準を設定することです。


一人で仕事をできるようになっても、それは上手くいって前任者と同じレベル。

会社を取り巻く経営環境が大きく変わったり、新しいツールができて、もっと効率的に仕事ができるようなっていても、教えられた通りのままでは、レベルが下がる恐れがあります。


このため

・以前は1時間かかっていた仕事が30分でできるようになった

・個人向けの商品を会社向けの商品として販売した

というように「何かしらの改善を自分でできるようになる」ことを社員が目指す目標として取り入れることで、少なくとも前例踏襲による仕事の劣化を防げる可能性が高まります。


その際のポイントは「成果でなく、結果を出すことを評価する」ことです。

先の例で言えば「1時間かかっていた仕事が30分でできる」であれば、業務効率化の成果として評価しやすいかと思います。

一方、「個人向けの商品を会社向けの商品として販売した」際には

・売上が上がった→成果として評価しやすい
・売上があまり上がらなかった→成果として評価しにくい

という傾向があります。

しかしながら、誰もが「いいね」という成果を出した場合のみ評価の対象とし、新たな挑戦をして成果かどうかの意見が分かれるものは評価しないとなれば、多く社員は挑戦しなくなります。

 

行動なくして、結果なし

改善に向けて挑戦したことが上手くいくかどうかは、やってみて、結果が出てこそ初めて分かることです。

したがって、もし、「仕事内容を改善できる」を評価基準に入れるのであれば、「成果でなく、結果を出すことを評価する」こととワンセットにするのが効果的です。


0.できない
  ↓
1.教えたらできる
  ↓
2.一人でできる
  ↓
3.仕事内容を改善できる
  ↓
4.人に教えられる


なお、中途採用等で即戦力と言われる人に仕事を任せる場合は、レベル2の「一人でできる」のを前提としています。その際、それまでの経験を踏まえて、レベル3の「仕事内容を改善できる」ことを会社として期待しているかと思います。

ただし、人によっては「自分のやり方が正しい」という認識の下、「こんなやり方ではダメだ」ということで、いろいろと改革を進めて、会社がかえって混乱することがあります。

そのような懸念がある場合、何がその会社にとって正しいかは会社によって異なるので、改革が改善でなく、改悪にならないよう予めしっかりと擦り合わせておきましょう。

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