知恵の和ノート
業務改善が進むかどうかは経営者が社員の意欲をどう引き出すか次第(第473話)
業務改善が進まないのは、社員に意欲がないのではなく、経営者にその意欲を引き出す工夫が足りないからだと捉える。
業務改善に積極的に取り組んでおられるクライアント先の社員の方に「なぜ、今回は上手く進んでいると思いますか?」と質問したところ、以下のような回答が返ってきました。
・1人ではなく4人がチームとなって取り組んでいる
・会社の業務としてやっているので、割り切ってできる
・当面の目標と期限が決まっているので、集中できる
実はこの会社では従来からもいろいろと業務改善に取り組んできました。しかし、以前は「ここは改善した方がいいのでは?」と提案すると、「じゃぁ、それ君やって!」というように、改善案を提案した人がそのままその責任者になることが多かったのです。
この場合、改善すべき点に気づいた人は、言ってみれば余計な仕事が増えることになります。そして、1人で責任を背負い込む形になると、「それだったら、言わずに黙っておこう」という気持ちがどうしても働きます。
社員はそれぞれ日常業務があります。このため、日常業務以外に新たな仕事が加わった時、「どちらの仕事を優先したら良いのか?」と疑問を抱くことがあります。
実際、前述のメンバーの一人は「『今から打合せがあるので、2時間ほど外出します』と他の社員に言う時は、少し心苦しいんです」とおっしゃっていました。
また、仕事は必ず目標と期限があってこそ前に進みます。
この点、業務改善の場合は、重要だけれど緊急度が低い仕事であるために、「3月末までに報告書を出す」といったように最終的なゴールではなくても、当面目指すべき明確なゴールがないと、そのうちうやむやになる恐れがあります。
社員は誰しも会社の仕事について、何らかの疑問を抱いていたり、それなりの気づきを持っています。しかしながら、普段の仕事が忙しい中、なかなかそれが表に出てくるとは限りません。
また、たまにヒアリングをしても、自分のことはさておいて、「あそこが悪い」「あれはひどい」と他人や他部署に対する批判ばかり出てくることが少なくありません。
けれども、まずは、いったん社員の生の声を吸い上げることが大事。なぜなら、そこには会社が抱えている潜在的な課題が必ず見え隠れしているからです。
冒頭のクライアントさんの場合も4人のメンバーが手分けをして、各部署の社員にヒアリングした結果、150項目近い改善点が出てきました。
社員一人ひとりが持っている改善に対する意欲をどう引き出すかは経営者の腕の見せ所。
業務改善が進まないのは、社員に意欲がないのではなく、経営者にその意欲を引き出す工夫が足りないからだと捉えれば、改善は必ず前に進みます。
クライアントさんのケースで言えば
・1人ではなく4人がチームとなって取り組んでいる→社員を社内で孤立させない
・会社の業務としてやっているので、割り切ってできる→仕事としての位置づけを明確にする
・当面の目標と期限が決まっているので、集中できる→明確なゴールを設定する
ことで、業務改善が一歩進みました。
もし、貴社でなかなか業務改善が思ったように進まないということであれば、無料診断を行っていますので、一度お問い合わせいただければと思います。
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