知恵の和ノート
「女性の管理職を増やす」ことは本当に有効なのか?(第466話)
「女性の管理職を増やす」という数値目標が一人歩きするのは危険。多様な価値観を会社経営に活かすという目的に立ち返って、必要な手を打つべし。
「女性の管理職は増やすな」
このようなことを言うと、某首相秘書官の発言のように炎上しそうな感じです。
しかしながら、単に「女性の管理職の比率を30%以上にする」ことが目標になってしまうと、目標を達成できても、誰も喜ばない結果に陥る懸念があります。
日本で女性の活躍推進が叫ばれてからかなりの年月が経ちます。
会社経営の観点からすると、女性の活躍推進は「多様な価値観を会社の経営改革に活かす」ことで意味を持ちます。
例えば、性別が女性であっても
・まずは自社の売上を上げることが最優先
・毎日夜遅くまで働くのがエライ
・家庭のことはパートナーに丸投げでも仕方がない
といったように昭和のオジサン的な価値観を持った人が管理職になるのであれば、会社はあまり変わりません。
また、管理職としての仕事の定義が曖昧なまま
・自分の数字だけでなく部下の数字にも責任を持つ
・リーダーとして率先垂範して社員を引っ張る
・経営者としての視点でモノゴトを考える
ことを女性社員に期待しても「それならやりたくありません」という回答が返ってくるのがオチです。
いま連日のようにフィリピンのことがニュースにのぼっています。
「収容所の管理がずさんだ」ということばかりフォーカスされていますが、そのフィリピンでは女性の活躍なんて常識になっていることはご存知でしょうか?
私が海外駐在員事務所の立ち上げのためフィリピンに赴任したのは1996年。今から27年前のことです。
当時業務提携先である地場の銀行では管理職の半分以上は女性。女性の支店長なんか当たり前で、副頭取の一人も女性でした。
ちょっとお金を渡せば、たいていのことはなんとかなるという風土はその頃からも変わっていない感じですが、「女性の活躍推進」という点では、日本よりも格段に進んでいました。
数値目標は本来の目的をハッキリさせていないと数字が一人歩きします。
先日も某大手企業の人事担当者と打合せした際、「本当はそうなんですけど、会社としてやるという方針は決まっているので」とお話されていました。
しかしながら、30年近く前のフィリピンと比べて格段に遅れている日本において、「単に数値目標の達成だけを目指している余裕はない」と感じています。
女性の管理職比率を上げることだけでは女性の活躍推進にはなりません。
そして、少子化が進んでいる中では性別を問わず、「いろいろな価値観を持った人の本領をどうやったら発揮できるのか」を真剣に考えて必要な手を打つことが求められています。
大手企業の管理職として長年ご活躍され、昨年独立されたクライアントさんは「女性が働きやすい職場は男性も働きやすい!」とおっしゃっておられます。
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