知恵の和ノート
感情にまかせた経営判断を避けるために必要なこと(第463話)
感情にまかせた経営判断は会社の命取り。自分の感情が大きく動く対象が分かれば、優秀な経営者なら結果も変わります。
感情にまかせた経営判断は会社の命取りになる。
これはいろいろな経営者を見て感じることです。
感情が動く対象は人によって異なりますが、ここでは
- お金
- モノ
- 人
に分けて考察します。
お金
「貧すれば鈍す」ではありませんが、普段は冷静な判断をする経営者であっても、お金がなくなってくると経営判断を間違えることがあります。
逆にお金がたくさんあることで、ついつい気が緩み、必要ないものに投資してしまう経営者も少なくありません。
いずれにせよ、お金が多い、少ないによって人の感情は動きます。動くこと自体は避けられないので、問題は感情が動いた後でどう冷静に判断するかです。
ここで間違えてほしくないのは
・100万円で感情が大きく動く経営者
・1億円じゃないと感情が動かない経営者
とを比べて、後者が前者よりも優秀だとか、すごい経営者とかではないこと。
例えば、いわゆるお金持ちと言われる人は、時には大きなお金をポンと気前よく使うのに無駄なお金は1円たりとも使いたくないという傾向があります。
また、証券会社でディーラーとして毎日何十億というお金を動かしていた方は、いま経営者として、社員に1万円の重みをしつこく説いて、日々の仕事に反映されています。
モノ
他人から見て何の価値も感じられないモノに対して多額のお金を使ってしまうことがあります。
それが趣味の範囲、資金繰りが回る範囲でモノにこだわっている分はまだしも、時には大きな罠にひっかかってしまうのは危険です。
霊感商法などが価値のない壺を高額で売りつけるのは
「あなたには悪霊がついている」といった言葉で相手の感情を揺さぶる
↓
相手の感情が動いて「なんとかしたい」と思う
↓
「この壺を買えばあなたは救われる」と伝える
↓
高額でも壺を買ってしまう
という流れです。
霊感商法の被害にあった人を見て「自分は大丈夫だ」と思っている人でも、何か商品を買っている時は「これが欲しい」「この商品なら今の問題を解決できる」と考えています。
この場合、たとえその商品が詐欺的なものでなくても「期待したほどの効果はなかった」と感じることは少なくとも一度はあるかと思います。
そして、人はそれぞれ思考の癖があるので、「こういう見せ方をされると、ついつい財布のひもが緩んでしまう」というパターンはあるのではないでしょうか。
人
社員が自分の思ったように働いてくれない。
「ウチならお役に立てる」と思う見込み客に提案しても、スルーされる。
仕事を発注したのに、成果が出ない。
人に関する問題は
・社員
・お客様
・お取引先
など対象も広く一番大きい問題です。
クライアントさんには、いつも「期待を捨てて、信頼しましょう」とお伝えしていますが、これは言うは易く行うは難しです。
期待を捨てるのは「人は他者を100%コントロールすることはできない」から。そして、信頼するのは「こちらが相手を信頼しない限り、相手もこちらを信頼しない」からです。
けれども、現実問題として「この人なら会社の役立ってくれる」と思って採用した人が、思ったほど働かないということはよくあります。
人の問題はお金やモノに比べても複雑です。このため、対応方法も一筋縄ではいきません。
しかしながら、冷静に振り返ってみると、判断基準に何らかの感情が影響していることが少なくありません。
以前、ある会社で社長さんが「今度、ウチにも東大卒の人が入ってくれることになった!」と喜んでおられました。
高校卒業してすぐに働き始め、苦労しながら会社を大きくした社長にとっては「日本の最高学府の出身者が我が社の社員になる」というのはとても嬉しかったのです。
ただ、しばらくして、その東大卒の社員は会社を辞めることになります。その理由は「仕事が全然できなかったこと」。
もちろん、この採用一つで会社の屋台骨が大きく揺らぐことはありません。
けれども、社長がその後も、ご自身の学歴コンプレックスを背景に「高学歴かどうかを基準に社員を採用する」ことを続けていたら、会社経営にも徐々に影響が出てくる恐れがあります。
結果を変えるために必要なこと
- お金
- モノ
- 人
皆さんはどこに感情が大きく動くでしょうか。
もちろん、会社経営ではこれらはそれぞれ密接に絡み合っています。このため、どれか一つに決めるのは難しいかもしれません。
しかしながら、最初の取り掛かりとして
・お金との向き合い方から掘り下げる
・モノとの向き合い方から掘り下げる
・人との向き合い方から掘り下げる
によって理解の深さや腹落ち感が違ってきます。
結果を変えるには行動を変える必要があります。そして、行動を変えるには思考(捉え方)を変えることがポイントになります。また、思考の癖はご自身の感情の動きとつながりが深いです。
このため、感情にまかせた経営判断を避けるには思考の癖を感情の動きと結びつけて整えることが有効です。
会社経営では
・キャッシュ・フロー
・セールス・フロー
・マネジメント・フロー
という3つのフローから捉えて、仕事の優先順位をつけると問題解決への道筋が見えてきます。
「3つのフロー診断」では経営者の思考(捉え方)を変えるきっかけとしていただくために
- お金
- モノ
- 人
の観点から、仕事の優先順位を明らかにするセッションを1on1で実施しています(時間:1時間)。
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なお、「3つのフロー診断」では弊社から何かを売込みすることはありませんので、有効にご活用いただければ幸いです。
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