知恵の和ノート
オーナー社長は「3つの自立」で事業を成長させる(第454話)
「社員にはもっと自分の頭で考えて仕事をしてほしい」と社長が本気で思うなら、まずは会社の経営理念を社長の言葉から自立させる。
「ただ第8章だけは衝撃的に心に刺さりました。この8章に出会っただけでもこの本を読んだ価値が充分だと思います。見事な言葉で表現してくれてます。早速明日からやってみたいと思います。」
拙著「心意気」から始める経営改革のススメをお読みいただいた経営者の方からいただいたご感想です。
本の中ではいろいろ書いていますが、実際に弊社が普段の仕事で主に取り組んでいるのは第8章の部分。それまでの第1章から第7章の部分は、第8章で書いたことの効果を高めるための基礎部分となります。
第8章のタイトルは「3つの自立」で事業を成長させる。
そして、3つの自立とは
- 理念の自立
- 社長の自立
- 社員の自立
です。
社長とお話していると、「社員にはもっと自分の頭で考えて仕事をしてほしい」という話題になることがあります。
社長の顔色をうかがったり、社長の指示を待っているのではなく、「会社の業績アップにつなげることであれば、どんどん自主的に進めてほしい」という訳です。
けれども、そのような会社の社員にインタビューしてみると
・会社の経営理念があるのは知っているが、ちゃんと言えない
・行動指針は一応あるが、ほとんど守られていない
・社長の指示がコロコロ変わる
・社長と上司の間で言っていることが時々食い違う
・社長の機嫌が悪いと、何を言っても聞いてくれない
といった声が出てきたりします。
そこで、もし社長が本気で「社員にはもっと自分の頭で考えて仕事をしてほしい」と考えておられるなら、まずは「社長の言葉と会社の理念とを分ける」ことをご提案しています。
社長だって人の子。
どんなに立派で優秀な社長であっても、仕事でイライラすることもあれば、プライベートなことが原因で機嫌が悪くなることもあります。
また、会社の業績が順調であればよいのですが、だんだんと資金繰りが厳しくなってくると「これをなんとか乗り切らないと」という責任感から、ついつい大声で怒鳴ったりすることもあります。
以前、私が仕えたある社長さんは普段は「お客様を大切にしよう」と言っているのに、業績が悪くなった時に「(取引先への)支払いはできるだけ遅らせろ」という指示を出していました。
経営者となった今では私もその方の気持ちはよく分かります。しかしながら、社員として働いていた当時は「なんだ、この人、普段言っていることとやっていることが違うじゃん」と感じました。
そして、社員であれば、その会社で働き続けるなら社長の指示は守らないといけないので、「なんだかなぁ」「この社長はあまり信頼できないかも」と思いつつも、社長の意向に沿って行動しました。
このように、オーナー企業や中小企業の場合、社長の日頃の言動はご本人が思っている以上に社員に大きな影響を与えます。
このため、もし、社員には自立的に動いて欲しいなら、「社長の言葉>会社の経営理念」ではなく、「社長の言葉<会社の経営理念」を確立して、「会社の経営理念に沿っている行動なら、それと矛盾する社長の指示は無視してもOK」となることが先。
そして、そういう状況になって初めて社員も「それならこれをやってみよう」という気持ちになります。
実際にはそれほど簡単なことではありません。けれども、人の場合は、どうしても感情の動きに左右される部分があります。
このため、
・理想として目指していること
・現状を打破するために取り組むべきこと
との間に矛盾が生じた時に、後者に引っ張られるケースが多いです。
これを踏まえると、法人である会社の経営理念を社長の言葉から自立させて、より上位に位置づけることは有効です。
なお、「3つの自立」で事業を成長させることにご興味をお持ちの経営者の方はお気軽に弊社までお問い合わせいただければ嬉しく思います。
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