知恵の和ノート
基本中の基本は「誰から」学ぶかの影響が大きいことを踏まえて対策を練る(第453話)
基本中の基本の部分は「誰から」学ぶかによって大きく影響を受けるので、標準的なスタンダードを作成すると共に、その浸透方法をセットで準備する。
学びで大切なのは
- 「誰から」学ぶか
- 「何を」学ぶか
- 学ぶ「目的」は何か
です。
今日はその中で、「誰から」学ぶかについて取り上げたいと思います。
小学校や中学校では学ぶ内容は文部科学省が学習指導要領で決めています。教科書によって多少記述内容に違いはありますが、「何を」学ぶかは同じです。
同じ内容を学んでいるのに、将来その道の専門家になりノーベル賞をもらう人も出てくる一方、数学が嫌いになって、希望の学校に進学できない人も出てきます。
もちろん、学ぶ側の能力や姿勢の問題もあります。しかしながら、まだ幼い段階で基礎的なことを学ぶ際には「誰から」学ぶかという要素が大きいと感じます。
社会人になっても
・お客様との向き合い方
・商談する際の心構え
など、基本的なことを若いうちに教わります。
その際、「誰から」学ぶかによって、「お客様を泣かせても、自分の売上をあげるのが大事だ」という姿勢が当たり前になる人もいれば、「商談の場では、まずお客様のお困りごとを明らかにする」というスタンスが身につく人もいます。
小学生の学びの場合は学習指導要領という学びのベースになるものがあります。
一方、社会人の学びの場合は、仮に会社の中で行動指針や業務マニュアルなどがあっても、全員が全員それらを腹落ちしている訳ではありません。
このため
・A部長の下では部下が数字面でも定性面でも成長する
・B部長の部署では数字は伸びているが、社員が育っていない
という事象が起こります。
学生が解く問題には必ず正解があります。しかしながら、社会人が直面する問題には必ずしも正解がありません。
このため、各人が創意工夫しながら、「どうやったら正解に辿りつけるか」を考えて仕事をするのですが、A部長とB部長では性格も、考え方も異なるので、
・A部長にとってしっくりするやり方が 部下にとってベストのやり方とは限らない
・B部長で上手くいく思考法が部下の成長につながるとは限らない
ということが起こります。
この場合、解決方法はいくつかありますが、少なくとも「これだけは絶対やろうね」という基本中の基本の部分だけは社員任せにしないことが大切です。
先日ある人事関係のサービスを展開しておられる社長さんとお話しさせていただきました。
私がスゴイなぁと感じたのは、その会社では社員に知ってほしい会社の基本にあたる部分をハンドブックとして公開していること。
その理由を社長さんにお伺いすると
・フルリモートで働いている
・日本人だけでなく外国人もいる
中で、社内の共通認識を整えるべくハンドブックを作成しているとのことでした。
そのハンドブックは社外の人も見られるので、そこで書いていることと社員がやっていることとの間に齟齬があったら、会社の信頼を傷つける恐れもあります。
そのハンドブックを単に作成するだけでなく公開していることに、社長の「何がなんでもこれを守って仕事をする」という強い覚悟を感じました。
基本中の基本の部分は、「誰から」学ぶかによって大きく影響を受けます。
そして、学習指導要領というベースがあっても、先生によって大きな差が生まれる現状を踏まえると、
- 標準のスタンダードを作る
だけでは不十分で
- そのスタンダードをどう浸透させるかを考えて実践する
をセットにしないと機能しません。
経営者からよくあるご相談の一つが「社員によってバラツキがある」です。
そして、いろいろとお話をお聞きすると、そのような会社の場合
・標準のスタンダードがない
・標準のスタンダードはあっても誰もそれを腹落ちしていない
ケースがほとんどです。
拙著「心意気」から始める経営改革のススメの中で社長を突き動かす原動力である「心意気」の言語化を経営改革の柱に据えているのは、基本中の基本の部分は「誰から」学ぶかによって大きく影響を受けるからです。
「自分の頭で考えろ」と指示するだけで、社長自身が自分の頭で考えずに流行りのメソッドを追従しているだけなら、誰も本気で自分の頭で考えようとしはしません。
もし、社員が社長の考えるような働きをしていないなら、それは日頃の社長の姿から社員が何かしらを学んでいるからである可能性が大きいです。
社長が社員から学ぶことができたら、会社も変わります。
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