知恵の和ノート
女性の管理職を増やすにあたって、経営者が必ず検討すべき要素(第452話)
女性の管理職を増やすなら、その目的をハッキリさせて、経営理念の側面と数字的な側面の両方から検討して自社にとってベストの選択肢を見つける。
なぜ、女性管理職を増やすのでしょうか?
日本政府は女性管理職の割合を 2020 年代の可能な限り早期に30%程度となることを目指しています。
その理由の一つが
・2022 年の日本の「ジェンダーギャップ指数」は 146ヵ国中 116 位[世界経済フォーラム(WEF)の調査]
日本の男女間賃金格差は加盟 44ヵ国中ワースト 4 位[経済協力開発機構(OECD)の統計]
といったように、男女共同参画の現状は依然として諸外国に比べ立ち後れていることです。
そして、一つのロジックが
男女間賃金格差の最大要因は日本の女性管理職の少なさにある
↓
女性管理職を増やすことで、男女間賃金格差が小さくなる
↓
だから女性管理職を増やそう
です。
しかしながら、もし男女間賃金格差を減らしたいなら
・管理職につかなくても給料が増える給与体系を作る
・その場合、性別による違いが生じない評価基準を作る
ことでも対応できます。
例えば、
・契約高に基づく成果報酬にする
・同じ契約高なら、それにかかった労働時間が少ない方を高く評価する
ということであれば、理論的には「時間をかけずに効率的に売上を上げた社員の給料が上がる」可能性があります。
けれども、そのような給与体系や評価基準を作るのは面倒くさいです。
しかも、そのような新しい取り組みをしたからと言って
・本当に女性社員はやる気になって働くのか
・男女間の賃金格差はなくなるのか
は実際にやってみないと分かりません。
このため、多くの場合、管理職の方が非管理職よりも一般的には給料が高いという現状を踏まえ、「女性の管理職比率を上げる」ことが指標とされます。
一方で、これは男性・女性に関係なく、最近の若い人は「管理職になりたがらない」傾向があると言われています。
実際、弊社のクライアントさんでも、仕事のできる社員(男性)に「今度から課長になってもらいたい」と言ったら、「それなら、会社を辞めます」と言われたという事例がありました。
上司の人が管理職として苦労しているのを見て、「あんなにたいへんなら、たとえ給料が上がっても管理職になんかなりたくない」と思っている模様です。
したがって、会社が政府の方針に則って、女性の管理職を増やそうとした場合、魅力的なロールモデルが少ない中、男性以上に「管理職になるくらいなら、会社を辞めます」という人も多いのではないでしょうか。
このように考えてみると、「男女間賃金格差を小さくするために女性管理職を増やす」というのは、ロジックとしては正しいけれど、「会社にとって、また、社員にとって本当に良いことなのか?」という疑問が湧いてきます。
会社の役割は経営理念に沿って売上を上げ、利益を確保することです。
したがって、女性の管理職を増やすという課題についても、その目的をハッキリさせた上で
- 経営理念に照らし合わせてどうなのか
という側面と
- 本当にそれで売上アップや利益改善につながるのか
という側面の両方から検討する必要があります。
そして、なによりも大切なのは
- 経営者がやり切る覚悟があるのか
ということ。
なぜなら、今までとは違うやり方に挑戦する際には
・必ず抵抗勢力がいる
・すぐに成果が出るとは限りらない
からです。
ちなみに、弊社の場合は女性の管理職比率は50%!
まぁ、二人でやっている小さい会社なので、この数字自体に意味はありません(笑)。
ただし、女性である取締役が成長しくれたお蔭で弊社の売上も安定するようになったという事実はあります。
これは私の個人的な意見ですが、「性別で仕事を振り分ける意味はない」です。
営業で力を発揮する女性もいれば、事務作業で抜群の安定力のある男性もあります。
単に「男性か女性か」「管理職かどうか」という区別で仕事を任せるのではなく、
- 各社員がそれぞれ最も力を発揮できる仕事は何か
- 仕事全体を俯瞰した時に、足りていない部分を誰がどのように補完するのか
- 組織として誰にどの仕事を任せるのが、一番成果が出やすいのか
を真剣に考えることが大切です。
日本が他国と比べて立ち遅れているのは「現状に甘んじて、上から言われたことを、そのままやってお茶を濁している」ことが多いからだと感じています。
ちなみに、弊社が取り組んでいる「女性活躍応援プロジェクト」の一つがこれです。
↓ ↓ ↓
心意気を原動力に仕事や生活を自然体で楽しむための3ステップ
人を突き動かす原動力である「心意気」を言語化した後、より大きな行動変容を起こすのは女性の方が多いです。
もし、女性社員の活躍の場を増やして、会社をさらに良くしたいとお考えであれば、一度お話させていただければ嬉しく思います。
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