知恵の和ノート
社員の自律に期待せず、会社の仕組みとして社員の自律を促す(第442話)
経営者と社員とでは会社の仕事の位置づけが違うので、「仕事が安心して回る仕組みを作る」という意味での最低限の管理は会社の成長にとって必要条件となる。
「自分は10代の頃から管理されるのが嫌で自由主義なので、部下にも自律して働いてもらう方法を突き詰めてきました。しかし、部下にとっては管理された方がラクらしい、管理してくれないとサボるらしい、普通の人は管理されたがっている。」
先日知人の経営者があるSNSにこのような主旨の投稿をされていました。
皆さんはどのように思われるでしょうか?
私自身も人から強要されるのが嫌で独立しました。
このため、個人的には「できるだけ管理したくないし、されたくない」です。
一方で、人は本能的に「楽をしたい」という特性があります。
また、自分の好きなことであれば、人から言われなくても熱中して取り組みます。けれども、それほど好きなことでもない場合、「自由に何をやってもいいよ」と言われても、かえって「何をやれば良いのか分からない」と感じて、思考が止まってしまうことがあります。
理想としては「会社の仕事=好きで熱中できること」です。
しかしながら、実際にはそれを実現するのはなかなか難しいので、会社としては「社員の仕事を管理する」ことが求められます。
- 今日はどのような仕事をやるのか
- 仕事の優先順位は正しいか
- トラブルになりそうなことはないか
社員の立場に立てば
- 今日やるべき仕事の内容が予め分かっている
- 自分が考える仕事の優先順位と上司が考える仕事の優先順位が一致している
- トラブルが起きそうな時に、いつでも気軽に相談できる人がいる
と安心して、仕事に取り組めます。
経営者はその仕事が好きで取り組んでいるかもしれませんが、社員は必ずしもその仕事が好きで取り組んでいるとは限りません。
したがって、そのことを前提にして
- 社員が安心して仕事に取り組める
- 経営者が安心して仕事を把握できる
- お客様が安心して仕事を任せられる
仕組みをどのように作っていくか。
「管理する」という言葉を使うと、なんとなく冷たいイメージになります。しかしながら、「管理する=仕事が安心して回る仕組みを作る」と定義すれば、それは社員にとっても、経営者にとっても、そして、お客様にとってもハッピーなことになります。
それを実現するには
- 必要な情報はできる限り共有する
- ITを使って自動化できることはできるだけ自動化する
- 時間をかけた方が良いことは腰を据えて取り組む
というメリハリが必要です。
従来型の強制を伴う管理体制では社員が持っている潜在的な力が発揮できません。
「管理する」の定義を変えながら、社員ができるだけ自由に行動できる時間と場を捻出しましょう。
なお、事業承継で経営者が世代交代するタイミングは会社の管理体制を切り替える大きなチャンスです。
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