知恵の和ノート
経営者になる出発点が違えば、事業承継で目指すゴールも途中のプロセスも違うのが当たり前(第441話)
事業承継は上手くいかないことを前提に主体的に知恵を絞って「仮説と検証とデータ」で一歩ずつ改善を重ねるべし。
中小企業白書2022年版に掲載されていた「就任経緯別に見た、経営者に就任した動機」によると
創業者は
1位:自己実現のため
2位:自分の裁量で自由に仕事をするため
3位:自身の知識や経験をいかすため
であるのに対し、同族承継の場合は
1位:会社の歴史を守るため
2位:従業員の雇用や取引先との関係を維持するため
3位:他に適任者がいないため
です。
つまり、出発点において
・創業者:「自分」が主な動機
・同族承継:「自分以外」が主な動機
になっています。
創業者は「0→1」が出発点であるのに対し、二代目以降は「1→10」「10→100」のように「既にあるものをどうするか」という点を考慮しなければならないという大きな違いがあります。
既に100年以上の歴史を持ち、世代交代を何回か経験された会社では、事業承継に関するコツやノウハウを既に蓄積されているかもしれません。
一方、はじめて事業承継を経験される会社の場合
・創業者
・後継者
ともに初めてのことであるため、いろいろと試行錯誤されることも多いのではないでしょうか。
もちろん、事業承継においては
・株式をどうするか
・相続税対策をどうするか
・銀行の借入保証をどうするか・・・
といった解決すべき問題がたくさんあります。
しかしながら、会社の持続的な成長という観点からは「経営理念に沿った会社経営をどのように実現していくか」という経営力の問題が一番大切です。
前述のように、先代社長と二代目社長とでは、経営者に就任する際の動機が大きく違います。
また、ゴルフで一度変なスイングの癖がついてしまうと、その癖を直すのに時間がかかるように二代目社長が先代社長より知識やスキルが豊富にあったとしても、「0→1→10→100と順番を追ってい事業展開する」際と、「既にある10をベースにして事業展開する」際とでは、後者の方がより難しかったりします。
そして、もし二代目社長が会社の組織風土を大きく変えたいと考えておられるなら
人は本能的に変わることを嫌がる
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仮に会社をより良くするための改革であっても、社員はすぐには賛同しない
ことで、創業者にはない苦労に直面することもあります。
その際、一度読むことをお勧めしたいのが楠木建さんの書かれた「絶対悲観主義」です。
本の中に「自分の思い通りにうまくいくことなんて、この世の中にはひとつもない」という前提で仕事をする」という一節があります。
人も違う。
時代も違う。
就任した際の動機も違う。
それなのに、先代社長をマネして会社を経営しても上手くいく訳はありません。
逆に、上手くいかないことを前提にして、いろいろとチャレンジすることで、先代社長とは違った形で新しい事業を生み出し、この荒波を乗り切っていけるのではないでしょうか。
なお、弊社では事業承継に関する小冊子「優秀な二代目社長が事業承継を契機に変えるべき『三つの位置』」を作成しました。
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事業承継をきっかけに、「勘と経験と度胸」による会社経営から、「仮説と検証とデータ」に基づく会社経営に切り替えていきたいとお考えの方は一度お読みいただければ嬉しく思います。
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