知恵の和ノート
大手企業の不祥事を自社の業務改善に活かす(第440話)
部署間の連携が上手くいかず組織内で見落とされがちな業務は必ず発生することを前提にお客様視点で解決する。
新聞報道等を見ると、エンジン試験不正の問題を起こしていた日野自動車では「三遊間=部署間の連携が上手くいかず組織内で見落とされがちな業務」と表現していたとのこと。
その言葉のセンスはなかなか素晴らしいと思うのですが、特別調査委員会の報告では
頻繁な組織変更
↓
三遊間の業務の増加
↓
担当が曖昧な業務の増加
を課題として指摘しています。
会社を取り巻く経営環境の変化により、組織変更が行われることは会社としては通常業務の範囲内。
ただし、その際、社内で声の大きい人の意向が反映されて組織変更が行われ、結果的に担当が曖昧な業務が増えることは、企業の大小を問わず、よくあります。
・商品別・サービス別に組織を編成する
・地域毎に組織を組み換える
・製造や開発、営業など機能毎に組織を作る
同じ会社であっても、いろいろと試行錯誤を重ねています。
しかしながら、何を基準に組織変更しても担当が曖昧な業務は必ず発生します。その際、問題となるのは、社内で力を持った人や声の大きい人がトップにいる部署の意見が通りやすいことです。
会社の利益の源泉はお客様に喜んでいただき、商品やサービスの対価として払っていただくお金になります。
すなわち、お客様にとってより価値があるのはA部門とB部門のうちどちらが担当するのがベターなのかが本来の判断基準になります。
けれども、B部門の部長よりA部門の部長の方が社内でより大きな力を持っていると、本来はA部門が担当した方が良い仕事であっても「それはB部門でやって」という一言で担当が決まったりします。
野球であれば、三遊間に飛んだ打球をベテランの三塁手が取れなければ、若手の遊撃手がカバーしないと、ヒットになってしまいます。
一応お互いに守備範囲は決まっていても試合で勝つためには、お互いに譲り合っていては失点を重ねるばかりです。
会社においても、どのような組織を作るにせよ、「部署間の連携が上手くいかず組織内で見落とされがちな業務」は必ず発生します。
その際、大切なのは「そのような業務をどのように対応するのがお客様にとってベストなのか」という視点です。
人は本能的に変化を嫌うし、面倒くさいことはやりたがりません。
したがって、会社を長く続けていくためには、部署間の連携が上手くいかず組織内で見落とされがちな業務が必ず発生することを前提に「三遊間の業務はお客様視点で解決する」というルールを徹底することです。
会社がだんだんと大きくなると、社員の関心は「お客様がどう思うのか」ではなく、「上司がどう思うのか」にどうしても行きがちです。
そして、ここを修正して「三遊間の業務はお客様視点で解決する」ことを徹底するのは、経営者の役目です。
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