知恵の和ノート
中小企業白書から読み取れる、経営者がより時間をかけるべき業務とは?(第439話)
経営者が現場業務に携わって、経営・マネジメント業務に充てる時間が少ないと、売上の伸び率も大きく減る可能性あり。
2022年度版の中小企業白書。
内容は多岐にわたるのですが、経営者に関する面白いデータがいくつかありました。
その中の一つが「経営者の経営・マネジメント業務に充てる時間の比率別・売上高増加率」。
経営者の業務を経営・マネジメント業務と現場業務に分け、1週間の中で経営・マネジメント業務に充てる時間を尋ね、売上増加率との関係性を調べたものです。
経営・マネジメント業務に充てる時間の比率を
- 3割未満
- 3割以上6割未満
- 6割以上10割未満
- 10割
と区分して集計したところ、2015年から2020年にかけての売上高増加率(中央値)は
- 3割未満 :1.4%
- 3割以上6割未満 :3.5%
- 6割以上10割未満 :7.3%
- 10割 :7.2%
という結果でした。
つまり、経営者が現場業務を減らし、経営・マネジメント業務に充てる時間が6割以上になった方が売上高増加率は2倍以上になるという訳です。
中小企業の経営者の場合、
・人材が足りない
・管理職が育っていない
といった理由で、経営者が自ら現場業務に携わるというケースが多いのは事実。
そして、部下に任せるよりも、経営者が自ら動いた方が
・問題もすぐに解決できる
・自分の満足できる結果が得られる
ために、現場業務からなかなか離れることができないことも少なくありません。
けれども、5年、10年という単位で見た場合はどうでしょうか?
中小企業白書のデータは、「経営者が現場業務に携わっている時間が多いほど売上高増加率は低い」ことを示しています。
まぁ、これはよくよく考えてみれば当たり前のことです。
どんなに優秀な経営者であっても、1日24時間、1週間7日という時間的な制約があります。このため、経営者一人でできる仕事の範囲には自ずと限界があります。
一方で、経営者が社員に仕事を任せる範囲を増やして、自分一人の力で問題解決するのではなく、
組織として仕事が回る仕組みをどう作っていくかに力を注ぐ
ことで、たとえ経営者から見れば半人前の社員ばかりであっても
複数の社員が同時並行的に仕事に取り組む
↓
同じ1日で仕事から生み出す価値を増やす
という流れを作ることができます。
先日もクライアントさんとの定例セッションの中でも「もっと課長に働いてもらいましょう」という結論になりました。
責任感が強く、真面目な経営者ほど「これは自分でやらねばならない」と思いがちです。
けれども、もし、あなたが経営・マネジメント業務に充てる時間が全体の6割未満であれば、「これは自分でやらねばならない」と思っている中の「これ」を見直してみましょう。
もしかすると、経営者の思い込みが売上の伸びを妨げているかもしれません。
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