知恵の和ノート
イノベーションを起こしたいなら、会議の前の根回しをなくす(第432話)
本気でイノベーションを実現したいのであれば、会議前の根回し禁止は挑戦する価値あり。
組織で何かを決定する際、根回しがよく行われます。
私自身、起業して以降は根回しすることはなくなりました。
ただ、クライアントさんがご自身のやりたいことを実現するために「どうやって根回しするか」について、アドバイスさせていただくことはあります。
例えば、二代目社長が経営改革を行う場合。
先代社長の全面的な理解があれば問題ありません。ただ、たとえ親子であっても、考え方や価値観は違うので、「二代目社長が推進する経営改革に先代社長が何かしら不満を抱く」のはよくある話です。
この場合、いきなり役員会で改革案を出すよりは、先代社長に改革案の骨子を予め説明することで、結果的にやりたいことがよりスムーズに実現できます。
本来であれば、このような根回しなしに仕事が進むのが理想です。
けれども、どこまで緻密に根回しするかは別にして役員会など物事を決める会議の前に何かしら根回しを行うことは少なくありません。
しかしながら、アマゾン社が新規事業を行う際、最初にプレスリリースを書くことを仕組みとして取り入れていることを知って、いろいろ調べている中、同社では「提案内容を事前に伝えたり、決裁権のある人に事前打診しないのがルールである」ことが分かりました。
つまり、アマゾンでは根回しが禁止という訳です。
もちろん、それには理由があります。
根回しが前提となると、根回しの上手な人の提案が通りやすいという事象が生まれます。つまり、提案内容そのものよりも、根回しの優劣が会社の方向性を決める恐れがあります。
また、予め根回しの済んだ提案を議論する際、仮に会議で新たな課題が見つかっても、根回しされた人は表立って反対しにくいことが予想されます。
アマゾン社では「イノベーションを起こすためには根回しは不要」と考えて、それを実践しているのです。
もちろん、根回しなしで実りある議論を行うためには、いくつかの条件が必要です。
- 目的の共有
- 判断基準の共有
- 評価の共有
そもそも、何のために、この仕事をやるのかという目的が共有されていないと、議論が成立しません。
また、決議する際の判断基準が曖昧だと、せっかく画期的な提案をしても、すぐ潰されてしまいます。
そして、たとえ提案が通らなかったり、いろいろと指摘を受けても、それをどう捉えるかという評価の共有も必要です。
特に日本の場合、頑張って考えた提案が否決されると、反対意見や否定的なコメントを出した人を「あの人は分かってくれない」と根に持つことがあります。
また、自分の考えと違ったり、今まで自分が取り組んできたことを否定するとも解釈できる提案があったりすると、「あいつは生意気だ」と感じて、提案内容の本質から外れて枝葉末節な論点を攻撃する人も出てきます。
このため、個人的な見解としては、いきなり根回しを全廃して会議を行うことはお勧めしません。
ただし、将来の更なる成長を目指してイノベーションを起こしたいのであれば、
- 目的の共有
- 判断基準の共有
- 評価の共有
を前提としながら、根回しの禁止に挑戦することは大いに意義があると考えます。
対話が得意な欧米の習慣を和を以って貴しとなす日本で取り入れるには、それなりの工夫が必要です。
そして、社員の多様な個性や価値観を会社経営に本気で活かしたいのであれば、会議前の根回し禁止は価値ありです。
なお、挑戦するという点では、自社の「プレスリリースを書く」ことも大いに意義があります。
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