知恵の和ノート

2022/05/24

社長の行動を制約し、孤立無援に追い込む呪縛の言葉とは?(第429話)

カテゴリー :意識改革

「人に迷惑をかけるな」という教えは時には人の行動を制約する呪縛になるので、孤立無援になりがちな人は要注意。

社長の思考を狭め、孤立無援に追い込む呪縛の言葉とは?

人に迷惑をかけるな

親が子供をしつけする際、よく使われる言葉です。


この言葉自体に罪はありませんが、時にはこの言葉が人の行動を制約する呪縛になることがあります。

もちろん、間違って入金された給付金を使ってしまったので、すぐに返還できないといった行動は迷惑な行為です。

では、銀行から借りたお金を当初の約束通りに返済できなくて、返済条件を変えてもらうという行動はどうでしょうか。


もちろん、銀行の立場からすれば、貸出金という資産査定に影響が出るので迷惑と感じるかもしれません。このため、昔は真面目な経営者ほど、銀行からの借入金返済を最優先にして資金繰りを回していたように思います。

しかしながら、私が銀行にいた頃に比べると、銀行は必要な場合には返済条件の緩和に応じるケースが増えています。

銀行からすれば、取引先が倒産して貸したお金が返ってこないのが一番迷惑なことです。

このため、当初の融資条件とは違うけれど、返済方法を変更することで、会社の資金繰りが回り、最終的に元金と利息が回収できるのであれば、倒産するケースよりも迷惑ではないのです。


法律で禁止されている事項は別にして何が迷惑で、何が迷惑でないかは相手によります

いろいろと相談するのを迷惑だと感じる人もいれば、困った時に誰かが相談に来てくれたことを、「自分を頼りにしてくれて嬉しい」と感じる人もいます。

また、人から相談されるのを嬉しいと感じる人も、納期の迫った仕事が溜まっている時に直接仕事とは関係のない相談があったら、迷惑だと感じる可能性があります。


この点、子供の頃「人に迷惑をかけるな」と教えられて、それが強烈な印象に残っている人は「人に頼らないのが良いことだ」と考える傾向があります。つまり、そのような人にとっては「自立=人に頼らないこと」です。

けれども、たとえ一人社長の会社であっても、いろいろな人の支えがあって仕事が回っています。

仕事を依頼する社員はいなくても、外注先を利用したり、システムを利用したりするので、実際のところは「人に頼りながら自立している」と言えます。


弊社の場合、クライアントさんには、一人社長の方もいらっしゃれば、100人以上社員がいる会社の経営者もおられます。また、大手企業に勤めながら将来の起業に向けて準備中の方もおられます。

業種業態、業績や部下の有無など働いておられる環境はいろいろですが、共通点は「人に頼ることをあまり良しとせず、自分の力で頑張ろうとするため孤立無援になることが多い」ことです。


先にも述べたように、何が迷惑かは相手によって、また同じ相手でもタイミングによって異なります。このため、一人で仕事を抱え込まずに、もっと気軽に「問いかけ」をすることをよくアドバイスしています。

もちろん、問いかけをしても相手が反応しないこともあります。また、時にはこちらの問いかけを迷惑だとクレームや文句を言う人もいます。

しかしながら、中には問いかけをすることで、「それだったら、こうしてみては」という提案を相手からいただけることがあります。

実はいま本の出版に向けて執筆を行っています。これも知人の経営者からご紹介いただいて出版会社の方にお会いし、問いかけをしたことで具体化したものです。


どちらかと言えば、私自身も昔から人に頼るのは苦手な方です。

そして、起業してからも、こちらは頼っていたつもりは全然なかったのに「依存している」とご指摘を受けたこともあります。

もちろん、自分の言動を迷惑だと感じる人に頼ることはできません。けれども、仮に「無理かなぁ」と感じても、こちらから一歩踏み込んで「問いかけ」しないと、何も生まれないのも事実です。


人に迷惑をかけるな。けれども、迷惑かどうかは相手が判断するので、「自分自身が『これは迷惑行為ではない』と得心しているなら、その行動は止めるな」です。


なお、メディアの方が日々大量に受け取るプレスリリースは大半が読まれずに、すぐゴミ箱行きだそうです。

無名な中小企業が自社の商品を宣伝するプレスリリースはメディアの人にとっては送られても迷惑そのもの。

もし、せっかく頑張って書いた自社のプレスリリースを迷惑行為にしたくないなら、お気軽にお問い合わせください。
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