知恵の和ノート

2022/05/10

社員を雇って仕事するという前提を見直して発想を広げる(第427話)

カテゴリー :ビジネスモデル

会社が事業を続けることは、雇用の有無に関わらず、社会に貢献していることを前提に、自社にとって最適な仕事の進め方を選択する。

社員を雇って仕事するという前提を見直して発想を広げる

社員を雇うのか、業務委託などを使って社員を雇わずに仕事を進めるのか。

この点、日本の場合、「社員を雇う」ことに重きを置く傾向があります。


雇用を維持するという点では、会社が社員を雇うことを前提にいろいろな座組みができています。

しかし、業務委託先を使って仕事をすることは直接的には雇用に関係ないように見えても

業務委託先にお金を払う
 ↓
業務委託先の売上になる
 ↓
業務委託先の人件費として支出される
 ↓
業務委託先の雇用維持につながる

という流れがあります。


たとえ社長一人でやっている会社でも、事業を続けていく上では、たくさんの人のお世話になっています。

弊社も現在いわゆる従業員はいませんが、

・毎月の経理処理

・ホームページの運営管理

・メルマガの配信

など、いろいろな会社や協力者に支えられて、日々の仕事を行っています。


では、皆さんは、会社の事業を続けていく上で

・社員を雇用して対応する

・社員を雇用せずに対応する

の判断基準をどこに置いておられるでしょうか。


・仕事の量

・仕事の質

・金額

・情報管理

・安心感

・やりがい

・手軽さ


一定量の仕事がないと、社員を雇っても、やってもらう仕事がないということが起こります。

弊社の場合で言えば、経理担当の社員を専任で一人雇うほどの経理処理の件数はありません。やろうと思えば、私が時間を見つけて行うことも物理的には可能なくらいです。

けれども、私は税務の専門家ではありません。このため、経理の仕訳はできても、最終的に支払う税金の金額はこれで良いのかについて、100%自信がある訳ではありません。

そこで、弊社では16年前の創業以来、経理処理に関しては、専門家の先生にずっとご協力をいただいならが進めています。

 

ただ、正直に申し上げて、毎月の月次決算のスピードはそれほど早くありません(苦笑)。

しかしながら、

・毎月の資金繰りやおおよその財務状況は私がタイムリーに把握していること

・毎月お支払いする報酬もリーズナブルな金額であること

から、「最終的に税金の計算を専門家として間違いなく対応してくれればOK」と割り切って考えています。


このあたりの割り切り方は社長の考え方次第。

社員であっても、社員でなくても、「一定水準の仕事をやってくれたらOK」と考える社長さんもいれば、「最初は頼りなくても、社員がだんだんと成長する姿を間近で見ることが嬉しい」と感じる社長さんもおられます。


これについては、どの考え方が正解だということはありません。

けれども、社長がまず考えなければならないのは、「会社が事業を続けていく上で、どの選択肢が一番良いのか」です。


厚生労働省が先日発表した「令和3年賃金構造基本統計調査の概況」によると、昨年度の大卒に新入社員の平均賃金は

225,400円

とのこと。

年換算に直せば(賞与がない場合)

2,704,800円(=225,400円×12)

となります。

そして、これに加えて社会保険料等の負担も発生するので、1名新卒で雇用する場合、平均で約300万円以上の支出が発生します。


しかしながら、どんなに優秀な学生でも、1年目からすぐに即戦力になるとは限りません。すると、当初1年間で見た場合、新卒社員を1名雇うことで、「300万円支出は増えたけれど、売上は増えなかった」ということも充分にありえます。

一方、会社としてやりたいことが決まっていて、その分野の専門家が見つかった場合、「300万円を出したけれど、売上が1,000万円増えた」ということも、よくある話です。

けれども、専門家の前評判は良かったけれど、思ったような成果が上がらず、「300万円支出は増えたけれど、売上は増えなかった」と残念な結果に終わることもあります。


キャッシュフロー的には、同じ「300万円支出は増えたけれど、売上は増えなかった」であるのに、

・新卒社員の場合:「まぁ仕方がない」と割り切れる

・業務委託の場合:「全然ダメだった」と後悔する

となるケースが多いのはなぜでしょうか?


一つは期待値の問題。期待値で言えば、「新卒社員<業務委託」 です。

もう一つは依存度の問題。新卒社員の場合は、会社側が主体的に教える立場に立つのに対して、業務委託の場合は、会社側が受動的に教えてもらう立場になるケースが多いです。

つまり、社員を雇って仕事を進めようが、社員を雇わず業務委託等を利用して仕事を進めようが、仕事を進める主体は会社であるにも関わらず、業務委託の場合はより期待値が高く、依存度も大きくなる傾向があるので、費用対効果としては同じでも受け取り方が変わるのではないでしょうか。


けれども、今後も働き手が減っていく中で、雇いたくても、社員が雇えない状況が想定されています。そして、残念ながら、優秀な人材はなかなか中小企業には入社してくれません。

このため、社長は雇用に対する考え方をいろいろと見直すべき時期にきています。

 

  • 社員を雇った方が良いのか、業務委託で仕事を回した方が良いのか。
  • 新卒を一から育てた方が良いのか、経験ある中途社員に入社してもらった方が良いのか。
  • 社員が会社に来て、社長の指示に従っているだけで満足していないか。
  • リモートワークが中心なら、社員と業務委託で何が違ってくるのか。


今はいろいろな考えを持った人が増えています。

従来型の「雇用を維持する会社が偉い」という固定概念をいったん捨てて、いろいろと自由に発想を飛ばしてみましょう。


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