知恵の和ノート

2022/04/19

大きな荷物の背景には経営者の大きな器あり(第424話)

カテゴリー :経営者

自社の資産を守ることに固執しすぎると、かえってその資産の価値が大きくならずに肝心の事業が拡大しない恐れあり。

大きな荷物の背景には経営者の大きな器あり

そなたが鍛錬し培い、身につけたものはそなたのもの。一生の宝となるもの。されどその宝は、わかち与えるほどに輝きが増すものと心得よ。

これは先日終了したNHKの朝ドラで登場人物の一人が主人公に伝えていた言葉。最近この言葉を改めて思い出したことがありました。


実は先日自宅に大きな荷物が届きました。

「何かなぁ」と思って開けてみると、取締役が学んでいる講座のテキストでした。

講座が始まる前に既にテキストは送ってもらっていました。

しかしながら

・今回テキストの内容について最新の情報を踏まえてアップデートした

・講座が終わった後も、引き続き講座の学びを活かしてもらえるよう新しいものを一式送った

とのことでした。


この講座は毎月開講しており、オンラインを駆使して1年間受講するもの。受講生も多いので、現在の受講生全員にテキストを送ったとすれば、費用もそれなりにかかるはずです。

しかしながら、「受講生のためにベストの方法は何か?」という観点からの対応にすごく感動しました。


というのも、先日更新したある資格の場合、「更新しなかった場合は、受講の際に使ったテキストを全部返還すること」が規約に織り込まれていたからです。

その資格を認定している会社に「かなり一方的な規定なので、変える予定はあるか?」と問い合わせたところ、「弁護士にも確認したが、資格維持のためには標準的な規定なので、改訂するつもりはない」との回答でした。


・受講が終わった後も、仕事に活かせるようにと最新のテキストを送ってくる会社

・更新しないなら、過去に使用したテキストを全部返還するよう要請する会社

何か知識やノウハウを教える会社として、自社の権利や資産を守るという観点からは後者の会社の方が正しいのかもしれません。けれども、どちらの知識やノウハウがより普及しているかと言えば、圧倒的に前者の全社です。


私が過去に学んだ先生の教えは

「ここで学んだことはドンドン真似してOK。ただ、知の系譜はしっかり示そう」

知財との関係で難しい問題はありますが、「自分の教えたことがより社会に広まることで世界をより良くしたい」と考えるなら、自ずと

  • 是が非でも自分が守るもの
  • 人と共有することで守るもの

が分かるのではないでしょうか。


冒頭のセリフにならえば、「されどその宝は、わかち与えるほどに輝きが増すものと心得よ」。

会社は社長の器以上に大きくならないと改めて感じた二社の対応の違いでした。


なお、広報活動を行って知名度が上がると、当然のことながら、他社が真似する可能性もあります。それゆえ、「知名度は低いけれど、真似されるリスクは少ない」方が良いという方にはPR(広報)はお勧めしません。

しかし、広く知られることで、貴社の商品で助けられる人や悩みが解消される人は確実に増えます。
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