知恵の和ノート
離職の要因分析をマネジメントやマーケティングに活かす(第413話)
人は不満が解消しないと判断した際に行動を起こすので、一定の判断基準を定めた上で解消すべき不満を減らす動きを止めないことが大切。
「人は『不満』だけでは会社を辞めない。不満が『変わらない』時に会社を辞める。」
転職をテーマにした講座で、組織開発がご専門の中原淳教授が仰っていたことです。
この「会社」の部分をコミュニティに変えても、そのまま通用するし、「会社を辞める」を「契約を止める」に変えれば、広くビジネスにも応用可能です。
価値観が多様化している中、経営者が頑張って良い組織を作っても、何らかの不満を言う社員をゼロにすることはできません。また、会社として自信のある商品を売り出しても、何かしら不満を抱くお客様はおられます。
社員の声に耳を傾け、お客様の声を真摯に受け止めることの大切さはいろいろなところで言われています。けれども、自らの価値判断の基準を持つことなく相手に擦り寄ることになると、かえって会社全体に混乱を招きます。
現在、私もある提案書を作成中なのですが、その組織の特徴の一つは「いろいろな考え方を持った人がいる」ということ。
このため、トップがいくら頑張っても、その動きに何かしら文句を言ったり、時には足を引っ張る動きがあるのです。
この場合、一人ひとりの声を聞いて、それを実現しようとすると、かえって混乱を招いて収拾がつかなくなる恐れがあります。
そこで、私の考えている提案の骨子は
- 集中
- スリム化
- 収益化
の3Sです。
組織を構成するメンバーの誰にとっても、メリットのある事業に経営資源を集中すること。
それを実現するために今やっている仕事を見直して、やる業務を大幅に減らすと共にデジタル化を進めて、できる限り手間を減らすこと。
そして、収益が自然と上がるお金の流れを作ること。
守秘義務との関係があるので、詳細は申し上げられないのですが、「社員の声に耳を傾け、お客様の声を真摯に受け止める」という美辞麗句の下で、「あれもやろう」「これもやらなきゃ」となると、一つの不満は解消できても、必ず別の不満が出てきます。
それよりも「不満はあるけれども、その不満を解消しようとする動きが継続的に行われている」ことが大切だと感じます。
実は弊社でも昨年取引を始めたあるビジネスを先月終了しました。その最大の理由は、このまま続けていても、不満は一向に解消されないと感じたからです。
昨今は私のサラリーマン時代と違って、転職や起業は当たり前の時代になりました。
ただし、転職の場合は、良い転職先が見つかるかといった要素が転職する際の壁になります。このため、多少の不満はあっても、その会社で働き続けるという人も多いです。
けれども、一般的なビジネスの場合、不満があり、その不満が解消されそうにないと感じたら、他社の商品やサービスに乗り換えるのは日常茶飯事です。
したがって、離職を防止する観点から、社員の不満を解消する動きを継続的に行う以上に、売上を伸ばしていく観点からお客様の不満を解消する動きを継続的に行うのは難しいと感じています。
どのような不満は切り捨て、どのような不満は改善につなげる材料とするか。
多様化の時代をを乗り切っていくためには、集中&変化の継続が欠かせません。
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