知恵の和ノート
中小企業がDXを推進するには慢性的な人材不足を前提に権限委譲を進めていく(第412話)
中小企業がDXを推進するには、デジタル人材の不足が続くことを前提に経営者の理解と社員への権限委譲で活路を見い出す。
DXを進める上でボトルネックは人材不足と言われています。
特に中小企業の場合、システム専門の部署もなく、ITに詳しい社員もいないので、「DXを進めたいけれど、誰に任せたら良いか分からない」という経営者も多いかと思います。
今年になってDX関連のセミナーにいくつか参加したのですが、登壇された先生方が異口同音におっしゃったのは「DXの責任者は必ずしもITに詳しい必要はない」ということ。
それよりも大切なのは
- 業務が分かっていること
- 経営者と同じレベルで戦略を理解していること
という訳です。
DXに関連するITの詳しい知識を身につけるにはかなり時間がかかります。ましてや素人が一からプログラミングをマスターするのはたいへんです。
そうであれば、その部分についてはサポートしてくれる会社もたくさんあるので、アウトソーシングを利用するのも一つの手段です。
それよりも、
- 会社の業務の流れはどうなっているのか
- その中で課題になっているのか何なのか
- お客様の満足度を上げるにはどうすれば良いのか
については、社員が一番よく分かっています。
そして、これら会社の業務に関わる部分はITに詳しくない社員がITのノウハウを身につけるのが難しいのと同じく、社外の人が社員以上に会社の課題や改善点を正確に把握するには時間がかかります。
もちろん、DXをネタに商売をしている会社の中には会社の課題を短時間で見抜いて、それに最適な解決策を提示できる人がいるかもしれません。けれども、そこまで相手に期待するのは危険です。
大手企業のように多額の投資ができるのなら、高額のお金を払って、超優秀な担当者をつけてもらうことは可能かもしれません。
一方、中小企業の場合はそこまでは難しいので
社内のことがよく分かっている人を責任者にする+足りない部分を必要に応じて外部のリソースを活用する
のが現実的です。
このように申し上げると、中には「残念ながら、そこまで社内のことに精通している社員はいないから、自分がやるしかないか」とおっしゃる経営者がおられます。
しかし、DXの推進責任者を経営者が兼務する際には注意が必要です。
もちろん、DXを推進することに関する経営者の理解やコミットメントは絶対必要です。一方、DXを真に成功させるためには、日々の細かい業務から生まれる改善をボトムアップ的に取り組むことが欠かせません。
したがって、理想としては
経営者がDX推進に関する理解を示す×権限委譲された社員がDX推進責任者になる
です。
特に最近のITやシステムについては経営者よりも若い社員の方が柔軟に対処できる可能性が高いです。
実際にお話をお聞きした会社さんの中で経営者がDX推進責任者になって成功していたのは、いずれも
会長(先代社長)がDX推進に理解を示す×若い現社長がDX推進責任者になる
というケースでした。
DXは全員がデジタルに触れないと意味がないと言われています。
つまり、一部のITに詳しい社員だけがシステムを使っているだけでは不十分で、ITが苦手な人も使えるような仕組みでないと、変革にはならないということです。このため、もし本人にやる気があるであれば、ITが苦手な社員を推進責任者にするのも一案です。
いずれにせよ、DXに関する人材不足はこれからも続きます。けれども、変革するのは待ったなしの状況です。
経営者ご自身がDXに関する理解を示しているのであれば、社員を巻き込んで早めに一歩踏み出しましょう。
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