知恵の和ノート
モノが売れない時代に求められるのは、動じても自力で戻れる心(第391話)
不安な時代に心が乱れるのは当たり前という前提で、乱れてもすぐに戻れる術にフォーカスを当てる
「不動心」とは、
「決して乱れぬ心」のことではない。
「不動心」とは、
「乱れ続けぬ心」のこと。
(「理念と経営」2021年8月号より)
これは先の雑誌の中で、田坂広志多摩大学大学院名誉教授が書かれていたものです。
新型コロナ感染拡大の収束がなかなか見えない中、不安な気持ちに陥ることも多いかと思います。
一方で、「不安な気持ちなんかになってはダメだ」「もっと前向きにならないと」という考え方があまりにも強いと、自分の感情に蓋をすることにもなります。
つまり、「心は決して乱れてはいけない」という思考に囚われてしまうと、かえって
(不安などで)乱れる心はダメだ
↓
こんな自分ではダメだ
↓
自分の心の動きを無視しよう
となる傾向があるのです。
実際、クライアントさんとお話していると、「いつも不安を感じる自分は弱っちい」「すぐに腹を立てる自分はなんて小さい人間なんだ」と捉えておられるケースがあります。
そして、最近の世の中では、マインドフルネスやアンガーマネジメントのように、心の平穏を保つことが推奨されています。
このため、言葉の表面的な意味にひっぱられて、「心が乱れてしまう(心の平穏を保てない)ことはダメなことで、悪いことだ」と考えている人が増えています。
もちろん、すぐにキレたり、暴力を振るったり、暴言を吐いたりするなど、感情をそのまま行動に移して、人に不快な思いをさせることは問題ありです。けれども、それらは感情の表現方法の問題であって、不安や怒りや悲しみなど感情そのものではありません。
人である以上、いろいろな状況に接した時に様々な感情が起こるのはごく自然のこと。逆に言えば、想定外の状況が起こっているのに、何の感情も感じないのは、どこかで無理をしている可能性があるので、かえって危険です。
よりフォーカスすべきは、「感情が乱れた時の自分なりの対処法は何か」です。冒頭でご紹介した田坂先生の言葉をお借りすれば、「心が乱れ続けぬ方法を自分として持っているか」です。
モノが売れなくなっている中、ビジネスに携わる人は、自分の感性を磨くことがますます大切になってきます。
その時、自分の感情に蓋をして何があっても動じないということが習慣になっていると、
自分の感性が磨かれない
↓
人の感情の動きにも関心を向けない
↓
自社の商品やサービスが売れない
というループに陥ります。
心が乱れるのは人として当たり前。あとは、乱れた心を自分なりの方法でできるだけ早く乱れぬ心の状態に戻せるかどうか。
いま求められている真の強さは、動じないことではなく、動じても自分で戻れることです。
なお、弊社では感情へのアプローチから始めるコンテンツをいくつかご用意しています。「体感セッション」もありますので、「乱れ続けぬ心」を手に入れたい方はぜひお試しください。
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