知恵の和ノート
資本主義の曲がり角は自社が生み出す波及効果に着目して突破する(第381話)
決算書には反映されない会社の付加価値を見つけて、事業を続けていくための意義を自覚する
「このまま預金しておいた方がお金が増えるのだけれど」
20数年前、フィリピンで日系企業の海外進出をサポートしていた時のこと。
ある日系企業のトップの方がポツリとおっしゃいました。
当時は現地の預金利率も高く、10%以上の金利がついていました。つまり、現地で工場を作るために日本から送られてきたお金を工場を作るのではなく、預金に預けておいた方が確実に稼げるという訳です。
工場を建てて製品を作るとなると、工場の建設費や原材料費、社員の給料など様々なお金が出ていきます。結果的に上手く製造まで進んでも、10%以上の利益を確実に確保できるとは限りません。
手元にあるお金を増やすということだけに焦点を当てると、「銀行にお金を預けておいた方が工場を建設して製品を作るよりも確実性が高い」という訳です。
今の日本では、銀行の預金利率は定期預金でも0.002%など、スズメの涙程度。このため、「預金してお金を確実に増やそう」という人はいません。
けれども、より安全で利回りの高いものがあれば、「苦労して商品を作ったり、売ったりするのではなく、金融商品に投資をして稼いだほうが良いのでは」と考える人が増えるのは無理もありません。
そして、機関投資家などの株主は、企業の価値をどのくらい稼いでいるかという観点から評価するのが一般的なので、「お金をどのように効果的に使っていくら利益を確保したのか」に関心が生きがちです。
この時
- 自社の商品を使うことで買った人がどのくらい生活が良くなったのか
- 会社から給与をもらっている社員の生活がどのくらい充実しているのか
といった内容は、利益の額や利益率には反映されません。
先のフィリピンの日系企業の例で言えば
- 工場建設に関わった会社や人
- 製造に携わっている社員
- 製品を買って使っている会社や人
に対する波及効果は、決算書には反映されません。
けれども、会社として評価されるのは「工場を建設して最終的にどのくらい儲かったのか」ということなので、日系企業トップの「このまま預金しておいた方がお金が増えるのだけれど」というぼやきにつながっていたのです。
会社として事業を続けていくためには、中長期的に利益を確保することは絶対に必要です。けれども、短期的に利益率を確保することに目が行ってしまうと、「なんだか確実に儲かりそう」と思えるものにお金を使ってしまう恐れがあります。
1個10万円の商品であれば、お客さんはそれが10万円以上の価値があると感じたからこそ、その商品を買ってくれたはずです。
また、社員に毎月50万円の給料を払っている場合。会社としては50万円の支出(費用)ですが、その社員はその50万円で住む場所を確保し将来を担う子供を育てています。
今は従来型の資本主義が大きな曲がり角に直面しています。
決算書に反映される数字は会社の一面。
まずは、会社の経営者や社員が「決算書には反映されていないが、確実に存在する自社の価値はいったい何なのか」をハッキリと自覚しましょう。
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