知恵の和ノート
関心の矢印を相手に向けなければ、相手は行動しない(第376話)
関心の矢印を自分から相手に向けることで、相手の行動にも変化が生まれる
お客さんであれ、社員であれ、私たちは「相手に行動してもらう」ことで仕事が成り立ちます。
お客さんには自社商品を買ってもらうという行動がないと売上が上がりません。また、社員には会社が決めたルールに沿って日々の業務に取り組んでもらわないと仕事が回りません。
しかしながら、実際には
- お客さんが商品を買わない
- 社員が指示通りに動かない
という状況が生まれます。
弊社では「ご本人に気づいてもらう」のが一番効果があると考えています。このため、実際のセッションでは、コンサルティングというより、コーチングに近いかもしれません。
けれども、時には「本人が気づくのに時間がかかりそう」と感じることがあります。
この場合、一つのやり方として
あえて本人の考える通りに行動してもらう
↓
上手くいかないという結果が出る
↓
「もしかすると、考え方が違っているのでは」と気づいてもらう
という方法があります。
本人の思い込みを変えることができるのは最終的にはやはり本人だけです。いくら理屈では分かっても、納得できない際は説得してもあまり効果がありません。このため、やや回り道になりますが、「現状を正確に認識してもらうために、あえて痛い経験をしてもらう」のは行動変容を促す際に一定の効果があります。
一方、先日は別の方法を取りました。それは「正解を伝え切る」という方法です。
「頑張る」ことをとても大切にされているクライアントさん。
けれども、第三者から見ると
- Aという状況で「頑張る」→〇
- Bという状況で「頑張る」→✕
ことが分かったのですが、「本人がそれに気づくのに時間がかかりそう」だったのです。
このため、あえて「『頑張る』ことがダメなのでは?」とお伝えしました。
もちろん、「頑張る」ことを大切にされておられるので最初はすごく納得がいかないご様子。そこで、いくつかの事例やケースを交えて手を変え品を変えてお話し、最終的に「Bで頑張るとダメなんですね」ということを得心されました。
「押してもダメなら引いてみる」というテクニックがありますが、この場合は「引いてもダメなので、押してみる」です。
営業の場合、お客さんの態度が煮え切らないことがあります。けれども、「この商品は絶対にお客さんの役に立つ」という自信があれば、「ぜひ、使ってみてください」と背中を押すことが、最終的にお客さんのためになります。
社員教育では、「こんなことを言うと、また嫌われるかも」と思っても、「これは社員にとって将来絶対必要なことだ」という信念があれば、「まずはこの通りにやってみて」と経験を積ませることで、後に「あの時はありがとうございました!」と感謝されます。
嫌われる勇気という訳ではありませんが、「こんなことを言うとどう思われるだろう」と感じている時は、関心の矢印が自分に向いています。
一方で「これはお客さん(社員)のためだ」と自分の心の奥底で納得して、行動する場合は関心の矢印が相手に向いています。
昨今は強引なセールスは嫌がられますし、社員への指導も時にはパワハラとして扱われます。けれども、関心の矢印が相手に向いている限り、すぐには難しくても、時間の経過と共に「背中を押してもらってよかった」と理解してくれるはずです。
なお、関心の矢印を相手に向けて行動するのを実践するのは簡単ではありませんが、ステップを踏んでいくことで、必ずできるようになります。
そこで、5月30日(日)13:30~15:00で、その具体的なプロセスを解説するオンライン講座を開催します。
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