知恵の和ノート
他者から見た自分の姿を素直に受け入れて仕事に活かす(第364話)
自己認識を高めるなら、できるだけ早い時期の方が効果的
先日「転職学」というテーマで中原淳立教大学経営学部教授の講演を聞きました。
人はなぜ転職するのか、また、転職した人が会社で活躍するにはどうすれば良いかについて、研究された成果を教えていただきました。
転職活動を始めた人がたいてい経験するのが「リアリティショック」という現象。
例えば、勤めている会社に不満を始めたものの「自分に対する市場の評価が思ったよりも低い」といった局面に接して、少なからずショックを受けるという状況です。私も二回目の転職の際に、「過去に自分がやってきたことが転職市場ではそれほど評価されない」と実感した経験があります(苦笑)。
最終的にはあるベンチャー企業に転職しましたが、当時は転職の適齢年齢は35歳以下と言われていた時期。その年齢をはるかに超えている一方で、それなりの年収も希望していたので、相談したコンサルタントの人からは「なかなか難しいですよ」というご忠告がありました。
講演の中では、リアリティショックを避けるためには、「自己認識(セルフ・アウェアネス)」を高める必要があるという説明だったのですが、興味を持ったのはその調査結果。
性別年代別に求職時の自己認識を調査したところ、「男性において高齢になると、自己認識を感じにくくなる」という結果だったのです。
自己認識というは文字通り自分を知るということ。転職活動においては、自分の持っているスキルや仕事での経験を正しく把握することも含まれます。
この点、男性の場合は「俺は大企業で働いていたのだから」「前職では部下が100人以上いた」というような過去の実績に囚われて、「他者から見た自分の正しい姿を知る」のが、年齢を重ねると難しくなるという調査結果が出ていたのです。
一方で女性の場合。
多少の増減があるものの、男性に比べると「高齢になると、自己認識を感じにくくなる」という傾向は当てはまらず、「男性に比べると相対的に自己認識が高い」模様です。
この点、女性の方が従来の男性中心の仕事社会において、より冷静に自分のことを分析していたという証かもしれません。
その自己認識を高めるには、多様な他者から客観的なフィードバックをもらうことが有効です。
しかしながら、女性よりも男性の方が「自分のことについて、『あぁだ』『こうだ』と他人から言われたくない」ように思います(実際私もそうです)。
現在弊社でも
本人が大切にしている本質的な価値観を掘り下げる
↓
本人が最も力を発揮できる姿を言語化する
ことで、自己認識を高めることに取り組んでいます。
そして、一連のセッションが終わった後をフォローアップしてみると、男性よりも女性の方がより大きく言動を変えている傾向があります。言い換えれば、自己認識が高まった後では女性の方がより大きく行動変容しているのです。
この点、自分自身を振り返ってみると
- 自己認識が高まっても、やはり過去の経験や実績を拠り所にする部分が残っている
- どうしても、自分自身のことよりも商品の機能や付加価値の方を重視しがちである
ように感じます。
また、最近弊社では女性のクライアントさんが増えており、「なぜなのかなぁ?」と思っていました。
しかし、先の研究結果を知って
男性において高齢になると、自己認識を感じにくくなる
↓
女性を対象にした商品を作る(男性の場合はより若い人向けの商品にする)
ことが、より成果が出やすいという仮説を立てています。
転職して働く環境を変えるにせよ、業態転換を図って、今までと違う商売を始めるにせよ、自分を知るという意味での自己認識は欠かせません。
私が自己認識に目覚めたのは30代でも40代でもなく、50代も後半になってから。研究結果から言えば、自己認識を感じにくくなる年代に当てはまります。
そういう意味では、転職活動中のリアリティショックは「自分のことがよく分かっていなかったが故に想定と現実とのギャップで感じたショック」だったのに対し、自己認識できた際は「等身大の自分が分かった故のリアリティショック」でした。
その分かなり時間とお金を浪費してきた苦い経験がありますので、皆さんは私の轍を踏まないようご留意いただければと思います。
なお、「CC(コアコンセプト)プロファイリングの体感セッション」は、緊急事態宣言発令中の期間限定企画として、特別価格5,000円(←通常価格:15,000円)で実施しています。「自己認識」を高めるきっかけとしてこの特別企画をぜひご活用ください。
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