知恵の和ノート
実家で書類の山を整理して感じた企業の一貫性に関する矛盾点(第359話)
一貫性を意識して、ひと手間かけることで信頼につなげる
先日実家に行って半日ほど片付けをしてきました。
今年84歳になる母が一人で住んでいるのですが、比較的しっかりしているとはいえ、だんだんと足腰が弱ってきています。
このため、台所周りを整理してより使いやすいようにするのが主目的でした。
あの年代の人は何でも「もったいない」と思って、捨てるのが苦手。母も「フライパンは一度も捨てたことがない」そうで、使えない調理器具が山のように出てきました(笑)。
台所関連はよく分からないので、そこは家内に任せ、私は書類関連を整理。病院に行った時の領収証や年金関連のお知らせなどを仕分けしました。
その中で、ちょっと気になったのが、「オンライン対応へのお勧め関連のお知らせ」です。
- 紙の請求書はWeb明細に変える
- 専用のマイページの開設
といったように、紙ベースからオンラインへの移行を促すお知らせがたくさんありました。
企業側は経費削減の観点から、オンラインへの切り替えを推進しています。そして、私個人で言えば、便利なので、できるだけオンライン化を進めています。
中には、クレジットカード会社など「4月以降も紙で明細発行をご希望される場合は200円かかります」といったこともあり、「効率性の面からも無駄な費用削減の面からもオンライン化に対応した方がお得」と感じさせられます。
しかしながら、パソコンはおろか、未だにガラケーしか持っておらず「スマホに買い替えようか」と提案しても、「今さら新しいことを覚えるのは面倒くさい」と言うような母の場合、オンラインへの切り替えは事実上難しいです。
銀行に行って、自動口座振替の手続きは本人もできますが、インターネットにアクセスし、自分で明細を調べたり、何か手続きするのはいまさら困難なのです。
もちろん、世の中には80歳を過ぎても、日々インターネットを活用し、自らSNSなどにも投稿している方もおられます。しかしながら、必ずしもそうではない人もたくさんいます。
この時、このような人たちに対して、「オンライン化に対応しない場合は一律に追加費用がかかります」という対応はすごく不親切だと感じます。
企業側の論理として、経費削減のためにオンライン化は推進せざるを得ないという事情はもちろん理解できます。
しかしながら、もし、その企業が「お客様一人ひとりを大切にする」という主旨の経営理念を掲げていたら、言っていることとやっていることの矛盾を感じます。
もし、経営理念との一貫性を保つのであれば
- 経費削減のため、請求書のオンライン化を進めます
- 4月以降紙ベースでの対応の場合、追加費用がかかりますが、ただし、80歳以上で引き続き紙ベースをご利用される場合は追加費用はかかりません
といったようなきめ細やかな対応があっても良いのではと考えます。
おそらく、システム設計上は企業側に取って余計なひと手間がかかるはずです。しかしながら、その余計なひと手間をあえてかけるかどうか。
情報が広く一気に広がる中、これからは一貫性をどう保つかがより問われます。
- 外面と内面が違う
- 採用で言われたことと、入社してからの状況が違う
- 人によって対応がバラツキがある
- 立派な経営理念は掲げているが、実際の対応は正反対
だと、信頼性に欠けます。
少なくとも、母が貯めていた書類を見ている限り、「これって、お年寄りのことをちゃんと考えているよね」という書類は1枚もありませんでした。
皆さんの会社では「一貫性」を保つために、どのようなひと手間をかけておられるでしょうか?
なお、自分の判断基準を言語化できると、そこから自然と「一貫性」が生まれてきます。
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