知恵の和ノート
発想を自由に飛ばすためには考える道筋を作る(第348話)
発想を飛ばす際は、先に理想とする状態を具体的な言葉にし、そこから逆算して具体的な項目を考える。
「発想を飛ばしてみましょう」
新しい切り口や見せ方を考える時、普通はこのようにお伝えします。
「飛ばす」に込めた意味は、「既存の常識に囚われない」「現状の問題に引きずられない」で、「制限なしに考える」「自由にイメージを膨らませる」です。
しかしながら、そうは言ってもたいていの場合、既存の常識に基づいた意見や現状の問題を反映した対策が出てきます。
人間誰しも経験していないことはなかなかイメージできません。また、今まで考えたことのないことを考えろと言われても、すぐには思いつきません。
このような場合は、先に「理想とする将来を言葉にする」ことがポイントになります。
例えば、「社長と社員との間で話が噛み合わない」という現実があったとします。
その場合、社長としては「社員と間で話が噛み合うようにしたい」と考えておられます。ただ、これだと、かなりざっくりとした理想なので、もう少し具体的に噛み合う要素を特定していく必要があります。
この場合、社員にも経営者としての目線を持って欲しいという答えがよく出てきますが、多くの社員は別に経営者になりたいと思っている訳ではありません。
そこで、対象を絞って
- 会社の資金繰りについて意識を統一したい
- 売上アップの戦略に関して相談相手になって欲しい
- 人材採用については任せられるようにしたい
というように、まずはどの分野で話を噛み合わせたいのかを決めることが最初の段階。
次に、仮に優先順位として「売上アップの戦略に関して相談相手になって欲しい」ことが高いのであれば、売上アップのために
- 新規顧客の開拓
- 既存のお客様のフォローアップ
- 新しい商品の開発
- 既存商品の値上げ etc.
のどこから手をつけたいのかを決めるのが次のステップになります。
そして、社長が考える最優先課題が「新規顧客の開拓」であるならば、「新規顧客の開拓をメインテーマとして社員との間で話が噛み合うようにしたい」のが当面の目標になります。
目標が決まれば、そこから逆算して
- どのような分野のお客様にアプローチするのか
- 主力商品の価値をどのように伝えるのか
- 販促ルートとしては何がベストなのか
を漏れなく考えていくことになるのです。
発想を飛ばす際のコツは
- 先に理想とする状態を具体的な言葉にする
- そこから逆算して、より具体的な項目を考える
です。
社長なら「そんなこと当たり前じゃん」と思われたかもしれません。けれども、現実問題として多くの社員は発想を飛ばすことには慣れていません。
それゆえ、最初のうちはテーマをできるだけ小さく絞ることをお薦めします。
また、テーマを絞っても会社の仕事はいろいろなことと繋がっています。
先の「新規顧客の開拓」にしても、実際には
- 資金繰りの問題
- 商品の価格設定の問題
- 社員の知識や経験の問題
とも密接に関連しています。
このため、せっかくテーマを小さく絞っても、途中から話が大きくなって、いろいろな問題にどう対応したら良いか分からなくなってしまう恐れがあります。
そこで、話が拡散しそうになった場合は「まず今日は『新規顧客の開拓』について話し合おう」というように、最初に決めたテーマを優先して打ち合わせするのがベター。
最初は小さな一歩から進めて、やがて大きな変化へとつなげていく。
そのためには、最初は欲張らないほうがかえって効果が高いのを実感しています。
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